米NHTSA、完全自動運転車の手動ブレーキ操作装置搭載義務撤廃へ規則案を公表

(米国)

ニューヨーク発

2026年07月08日

米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は6月25日、自動運転システム(ADS)のみで運転されるよう設計された車両について、手または足で操作するブレーキ制御装置搭載義務を撤廃する規則案を発表した(6月26日付連邦官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに掲載)。今回の見直しの対象は、車両総重量(GVWR)が3,500キログラム以下の車両に搭載されたブレーキシステムを規定する連邦自動車安全基準(FMVSS)第135号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますである。NHTSAは2025年4月に発表した「自動運転車(AV)の枠組み(Automated Vehicle Framework)(2025年4月30日記事参照)」を基に、AVの実装に向けた取り組みを進めている。

規則案の骨子は次の2点。(1)人による運転を想定しない設計の車両について、手または足で操作するブレーキ制御装置の要件を撤廃する。ただし、手動運転装置を備えるADS搭載車には既存の要件を引き続き適用する、(2)制動距離基準をはじめとする制動性能要件(注1)は維持され、対象車両は代替の試験手順に従い現行と同一の基準への適合が求められる。

AVの枠組みに基づくFMVSSの見直しは、AV化で不要となる機能の撤廃など今回で5件目となる(注2)。NHTSAはこのほかにも、FMVSSの適用免除手続きの簡素化(2025年6月24日記事参照)や、将来のガイダンス策定に向けた、業界・安全専門家による初の「全米AV安全フォーラム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の開催など、実用化に向けた既存の規制見直しを進めている。

政府はAV政策の目的として、交通安全上の利点に加え、中国とのイノベーション競争への対応に言及した。なおAVを巡っては、下院共和・民主党議員が超党派で検討を進めた「セルフ・ドライブ法案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(H.R.7390)」が現在連邦議会に提出され、委員会で検討されている。2026年1月22日に首都ワシントンDCで開催された専門家会議である「Public Policy Day外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」では、本草案作成に関わったデビー・ディンゲル下院議員(民主党、ミシガン州)とボブ・ラッタ下院議員(共和党、オハイオ州)が、グローバル競争が激化する中での米国の技術開発を推進する重要性について議論するなど、超党派の協力体制をアピールした。

(注1)一定速度から安全かつ安定した状態で完全に停止するまでの距離など制動能力に関する基準。

(注2)NHTSAはこれまでに、トランスミッションのシフトポジション表示(FMVSS第102号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、フロントガラスの曇りや霧を取り除くデフロスタ・デフォッガー(同第103号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)や、ワイパー・ウォッシャー(同第104号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、タイヤの仕様や適正空気圧などを表示するタイヤ情報プラカード(同第110号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に関する4基準の改定を求める規則案を公表した(第102号、第103号・第104号は2026年3月16日、第110号は4月1日に官報掲載)。

(大原典子)

(米国)

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