米USTR、ベトナムの知財保護に関する301条調査を開始

(米国、ベトナム)

ニューヨーク発

2026年06月02日

米国通商代表部(USTR)は5月29日、ベトナムの知的財産権の保護および執行に関する政策や慣行について、1974年通商法301条に基づく調査を開始したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同日、官報案PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)も公表した。USTRは4月30日に発表した、各国の知的財産権に関する状況をまとめたスペシャル301条報告書において、ベトナムを優先国に指定していた(2026年5月7日記事参照)。

USTRはスペシャル301条において、ベトナムが、(1)オンライン海賊版に対する持続的かつ効果的な執行措置、(2)広範な偽造品に対する十分な執行措置、(3)効果的な国境管理措置、(4)無許可ソフトウエアの使用に対する執行措置、(5)ケーブル・衛星信号の盗用に対する刑事措置、が不十分であると指摘し、優先国に指定した(注)。優先国に指定した場合、USTRは通商法302条に基づき、301条調査を実施するか否かを決定しなければならない。301条は、外国の措置、政策、慣行が不合理または差別的であり、米国の商業に負担や制限を与えるなどと調査を通じて判断された場合、外国の製品に追加関税など輸入制限措置を講じる権限や、外国のサービスに料金や制限を課す権限などをUSTRに付与している。

調査の開始にあたり、USTRのジェミソン・グリア代表は、「ベトナムはスペシャル301条報告書で指摘してきた懸念に対処するための措置を最近いくつか講じている」としつつも、「ベトナムにおける知的財産権の侵害は、依然として米国のイノベーターやクリエーターの競争力を損ない続けている」と指摘した。

USTRは今回の調査に関するパブリックコメントを7月2日まで、ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで募集する。

なお、米国とベトナムは2025年7月に2国間の貿易協定の枠組みで合意し(2025年7月3日記事参照)、同年10月には共同声明を発表した(2025年10月29日記事参照)。現在、貿易協定に関する最終調整が行われていると報じられている(米通商専門誌「インサイドUSトレード」5月20日)。

(注)スペシャル301条報告書では、米国企業のビジネスの阻害要因となる、知財保護やその侵害に対する取り締まりなど執行が不十分な国・地域を特定し、懸念が大きい順に「優先国」「優先監視国」「監視国」に指定する。

(赤平大寿)

(米国、ベトナム)

ビジネス短信 d4ca71e7550d71fe