欧州委、デジタルサービス法違反でTemuに2億ユーロの罰金
(EU、中国)
調査部欧州課
2026年06月03日
欧州委員会は5月28日、「デジタルサービス法(DSA)」(2022年10月6日記事参照)に基づき、中国系EC(電子商取引)プラットフォームのTemuに対し2億ユーロの罰金を科した。同社のプラットフォーム上で提供される違法製品がもたらす体系的リスク、およびそれによりEUの消費者に生じる損害について、特定・分析・評価が不十分であり、違法商品に遭遇する可能性が非常に高いと指摘した。
Temuが2024年に実施したリスク評価には、自社サービスに基づく具体的な分析ではなく、電子商取引全体に関する一般的な情報に依拠しており、DSAで定められた基準を満たしていないとされた。欧州委による覆面調査によれば、多くの充電器が基本的な安全性試験に合格していなかったほか、乳幼児用玩具についても化学物質の基準超過や窒息リスクなど、中度から高程度の安全上の問題が確認された。また、推薦(レコメンド)機能やインフルエンサーによる商品販促が、違法商品の拡散を助長するリスクついても十分な設計が行われていなかった。
DSAでは、指定された「超大規模オンラインプラットフォーム」は、自社のサービスに関連する体系的リスクを綿密に評価し、それに対応する軽減措置を講じることが義務付けられている。今回の罰金は、違反の性質、影響を受けたEU消費者に対する重大性、および違反期間を考慮して算定された。Temuは2026年8月28日までに是正計画を提出する必要があり、適切に対応しない場合、追加の制裁金が科される可能性がある。
欧州委はDSAによる「プラットフォームの自己責任(リスク把握・説明責任)」を強く求め、違反時には大規模制裁を実施する段階に入っている。Temu以外にも複数の大手プラットフォームに対して違反指摘・制裁・調査を行っている。2025年12月には、米国のX(旧Twitter)に対し1億2,000万ユーロの罰金(2025年12月15日記事参照)を科したほか、中国企業が運営する動画共有アプリ「TikTok」、中国のアリババが運営するECサイト「AliExpress(アリエクスプレス)」、米国ソーシャルメディア大手のメタ(フェイスブック、インスタグラム)に対し暫定的な通知を行っている。また個人データに基づく広告配信に対して、DSAでの違反を指摘されたLinkedIn(リンクトイン)は、当該機能をEU域内で完全停止するなどの対応を実施している。
(坂本裕司)
(EU、中国)
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