欧州委、デジタルサービス法に基づく初の不順守決定、Xに1億2,000万ユーロの罰金
(EU、米国)
調査部欧州課
2025年12月15日
欧州委員会は12月5日、デジタルサービス法(DSA)に基づく透明性義務違反により、米国のX(旧Twitter)に対し1億2,000万ユーロの罰金を科した(プレスリリース
)。2024年7月に違反を暫定的に通知しており、今回、不順守の決定を下した。違反事項には、「青いチェックマーク」の欺瞞(ぎまん)的なデザイン、広告関連データを一元管理するためのデータベースである広告リポジトリの透明性欠如、研究者への公開データ提供義務の不履行が含まれる。
具体的には、Xが「認証済みアカウント」に付与する「青いチェックマーク」はアカウントの人物を実質的に検証できず、また誰でも金銭を支払うことで「認証済み」ステータスを取得できるため、アカウントやコンテンツの真正性を判断することが困難となっている。これは、オンラインプラットフォームがサービス上で欺瞞的なデザイン手法を禁止するDSAの義務に違反する。
また広告リポジトリは、詐欺、組織的な情報操作、偽広告などを検知するのに不可欠な透明性とアクセシビリティ要件を満たしていない。
本件はDSAに基づく初の不順守決定で、今回科された罰金は違反の性質、影響を受けたEUユーザー数に基づく重大性、および違反期間を考慮して算定された。
Xは今後、欧州委に対し、「青いチェックマーク」の欺瞞的使用に関連する具体的な措置を60営業日以内、広告リポジトリおよび研究者向け公開データへのアクセスに関する対処への行動計画を90営業日以内に提出しなければならない。DSAの諮問機関である欧州デジタルサービス会議は、Xの行動計画受領後1カ月以内に意見を表明する。欧州委はさらに1カ月以内に最終決定を下し、合理的な実施期間を設定する。
欧州委はDSAの順守に対する違反として、中国企業が運営する動画共有アプリ「TikTok」(2025年5月21日記事参照)、中国のアリババが運営するEC(電子商取引)サイト「アリエクスプレス(AliExpress)」(2025年6月23日記事参照)、米国ソーシャルメディア大手のメタ(フェイスブック、インスタグラム)に対し暫定的な通知を行っている。
(坂本裕司)
(EU、米国)
ビジネス短信 4c37f0f47a5ab057




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