米税関、セルビアとヨルダン拠点企業の銅製品・衣類の輸入差し止め命令3件を発令、強制労働理由に

(米国、セルビア、ヨルダン)

ニューヨーク発

2026年06月30日

米国税関・国境警備局(CBP)は2026年6月、セルビアおよびヨルダンの計3事業者に対し、強制労働を理由とする違反商品保留命令(WRO)を発令した。対象は、セルビアに所在する中国系大手鉱山会社のジジン・カッパーが製造する銅・銅製品(6月16日発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)と、ヨルダンの縫製会社ニードル・クラフトおよびカジュアル・ウエア・アパレルが生産する衣類だ(6月23日発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

米国の1930年関税法307条は、強制労働、児童労働、囚人労働などの労働搾取を通じて生産された物品の輸入を原則禁止しており、CBPは強制労働の関与が推定される場合にWROを発令し、対象物品の輸入を差し止める。強制労働の関与が正式に認定(Finding)された場合には、輸入差し止めに加え、押収・没収措置が講じられる。

ジジン・カッパーに対しては、労働者の陳述、NGO報告書、学術研究など複数の情報源をCBPが調査した結果、ILOの強制労働指標6項目に該当すると判断した(注1)。ニードル・クラフトおよびカジュアル・ウエア・アパレルに対しては、メディア報道、政府文書、企業声明、被害者供述、NGO報告書などを総合した結果、ILOの強制労働指標7項目に該当すると認定した(注2)。

今回のWROに関し、CBP貿易局のエグゼクティブ・アシスタント・コミッショナーのスーザン・トーマス氏は、「外国企業が強制労働を利用してコストを抑制することで、米国の製造業者は不公平な競争に直面する」と述べた上で、CBPの強制労働の取り締まりは「米国商取引の健全性を損なうサプライチェーンを摘発する取り組み」で、「人権と米国の経済安全保障の双方を守るための措置」だと強調した。

CBPのダッシュボードによると、6月23日時点で、有効なWROは今回の3件を合わせ計58件(認定8件)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますとなる。差し止められた貨物の輸入者は、輸入品を廃棄・再輸出するか、強制労働を使用していないことを立証しなければならない。

なお、CBPは2025年6月に強制労働の関与が疑われる外国製品を申し立てるポータルサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを設置した(2025年7月2日記事参照)。2026年6月12日には強制労働に関する輸入者向けガイダンスPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)も公表し(2026年6月16日記事参照)、強制労働の関与が疑われる製品の輸入規制を強化している(添付資料表参照)。

(注1)英国のNGOであるビジネスと人権リソースセンター外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、ジジン・カッパーのセルビアでの事業について、2024年2月に不透明な土地収集、環境汚染、行政監督の不備が指摘されて以降、関係者への調査を実施してきた。今回のWROでは強制労働指標のうち、脆弱(ぜいじゃく)性の悪用、賃金の未払い、威嚇および脅迫、移動の制限、身分証明書の没収、および過度の残業に該当すると認定された。

(注2)ビジネスと人権リソースセンター外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、ニードル・クラフトが所有する工場での労働権侵害に関する報告は2023年以降拡大している。同社に対して今回認定された強制労働指標は、身分証明書の没収、過度の残業、威嚇および脅迫、身体的・性的暴力、賃金の未払い、移動の制限、および劣悪な生活・労働条件。

(久峨喜美子)

(米国、セルビア、ヨルダン)

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