米税関、強制労働に関する輸入業者向け実務ガイダンスを公表
(米国、中国)
ニューヨーク発
2026年06月16日
米国税関・国境警備局(CBP)は6月12日、強制労働の関与が疑われる物品の米国への輸入を防止するための概要を説明した、輸入業者向け実務ガイダンスを公表
した。1930年関税法307条、ウイグル強制労働防止法(UFLPA)、対敵国制裁法(CAATSA)について説明している。今回のガイダンス
の公表は、CBPの本件に関する法執行状況全般についての透明性を高めることを目的としている。
米国の1930年関税法307条は、強制労働、児童労働、囚人労働などの労働搾取を通じて生産された物品の輸入を原則禁止している。CBPは強制労働などへの関与を推定した場合、違反商品保留命令(WRO)を発令し、対象物品の輸入を差し止める。また、強制労働などへの関与を正式に「認定(Finding)」した場合には、対象物品の輸入を差し止め、押収・没収する。
また、UFLPAでは中国の新疆ウイグル自治区で生産された製品やUFLPAの事業者リストに掲載された事業者が生産した製品を、CAATSAでは北朝鮮国民が生産に関与した製品などを、強制労働の利用があるとみなして原則輸入禁止としている。これらの法律に基づき、CBPは対象製品の輸入を差し止める。
同ガイダンスでは、CBPが運用する上記の法的枠組みについて、その概要と実務上の留意点を体系的に示した。具体的には次の3つの内容を含む。
- UFLPA、CAATSA、WRO、および認定に基づく措置に関する法執行プロセスのフローチャート
- UFLPA、CAATSA、WRO、および認定の各法執行プロセスに関する詳細な解説(輸入者が直面し得る問題や貨物の留置および排除への対応方法に関する段階的なガイダンス)
- UFLPAの重点対象分野において推奨されるサプライチェーン関連文書、UFLPA対応のデューディリジェンス(適正評価)の実践例、UFLPA・WRO・CAATSAに関連する留置・排除通知のサンプル、ならびに再搬入通知や原産地証明書のサンプル
CBPは輸入業者に対し、同ガイダンスを確認した上で、貨物が留置される前にサプライヤーに対するデューディリジェンスを実施することを推奨している。
なお、CBPは2025年6月に強制労働の関与が疑われる外国製品を申し立てるポータルサイト
を設置しており、同サイトを通じて輸入の差し止めなどの執行状況を公開している(2025年7月2日記事参照)。また強制労働を巡っては、米国通商代表部が1974年通商法301条に基づき、日本を含む60カ国・地域からの原則全ての輸入品に10%または12.5%の追加関税を課すことを提案している(2026年6月3日記事参照)。
(久峨喜美子)
(米国、中国)
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