海南省、AIを活用した小規模企業(OPC)の支援措置を公布、自由貿易港制度を活用
(中国)
広州発
2026年06月04日
海南省の工業情報化庁、発展改革委員会、財政庁など関係部門は5月18日、「人工知能+(AIプラス)」の取り組み(注1)を徹底するため、「海南省におけるAI OPCのイノベーション発展支援に関する若干の措置」を公布した。
OPCはOne Person Company、「一人会社」の略語で、AI OPCは、AIツールを開発または活用して創業する個人または零細企業が、これを用いて製品設計から開発、製造、販売までの一連の業務を担う形態を指す。同措置では、OPCの従業員規模は一般に5人以下と定義されている。
同措置では、海南自由貿易港の制度を活用し、海口市を中核として、OPCの発展に適したバリューチェーン全体にわたる支援体制を構築する方針が示された。2026年までに3カ所程度のOPCコミュニティーを先行整備し、2028年までにOPCコミュニティーを10カ所以上、OPC企業を100社以上、OPC人材を1,000人以上集積し、AI「OPC」エコシステムの形成を目指すとしている。
具体的な支援策として、各地に延床面積3,000平方メートル以上の「OPC」コミュニティーの整備を促すとともに、一定期間の賃料免除などにより「即入居・即起業」が可能な環境を提供する。また、優良コミュニティーを年1~3件選定し、最大800万元(約1億8,400万円、1元=約23円)の一時奨励金を支給する仕組みを導入する。
コスト面では、「AI消費券」などを通じて演算処理能力、アルゴリズム、コーパス、AIツールの利用コストを軽減する。さらに、投融資支援として、1,000万元以内の無担保信用融資に対して最長1年間、年1%の利子補助を行う制度も盛り込まれた。
このほか、海南省政府は、観光、サービス業、ハイテク産業、農業など地域の重点産業分野の企業と連携し、AIの応用事例の蓄積を進める方針を示した。
中国では各地でAI関連政策の展開が進んでいる(2026年5月25日記事参照)が、海南省は海南自由貿易港の「双15%」税制優遇措置(注2)やデータ越境流通の制度(注3)などを組み合わせた支援を打ち出している点に特色がある。今後の制度運用の動向が注目される。
(注1)「AIプラス」行動は、AIとあらゆる産業・社会分野を組み合わせることで、中国の経済・社会を発展させる取り組みで、2024年の政府活動報告で初めて打ち出され、その後、2025年7月31日の国務院常務会議で、同行動の実施徹底に関する意見が審議・可決されるなど(2025年9月3日記事参照)、その深化・拡大が進められている。
(注2)「双15%」とは、海南自由貿易港において、個人所得税および法人所得税に適用される優遇税制を指す。一定の条件を満たした場合、個人については個人所得税の実質的な税負担が15%を超える部分が免除され、企業については法人所得税に15%の軽減税率が適用される。
(注3)データの越境流通制度とは、安全確保を前提に、データ出境のネガティブリストを導入し、リスト外のデータについては手続きの簡素化・免除を通じて、データの国外移転の円滑化を図る制度。
(西村京子)
(中国)
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