中国、「AIプラス」行動の徹底に関する意見発表、6重点分野で実施強化

(中国)

北京発

2025年09月03日

中国国務院は8月26日、「人工知能+(AIプラス)」行動の実施徹底に関する意見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表し、「AIプラス」行動(注1)の積極的な実施を推進するとした。

同意見では、2027年、2030年、2035年をそれぞれ期限として定め、次の3段階の目標を掲げている。

  • 2027年までに科学技術、産業、消費、民生、ガバナンス、国際協力の計6つの重点分野とAIとの融合を実現する。また、次世代スマートデバイスやAIエージェントなどの普及率を70%以上に引き上げ、スマートエコノミーのコア産業の規模を拡大させるほか、パブリックガバナンスでAIの役割を強化する。
  • 2030年までにAIの活用によって中国の発展を全面的に支え、次世代スマートデバイスやAIエージェントなどの普及率を90%以上に引き上げる。また、スマートエコノミーを中国経済の重要な成長の柱とする。
  • 2035年までにスマート経済やスマート社会発展の新たな段階への全面的な移行を目指し、社会主義現代化の実現に向けた強力な支えとする(注2)。

意見は、(1)「AIプラス」科学技術、(2)「AIプラス」産業発展、(3)「AIプラス」消費の質の向上、(4)「AIプラス」民生福祉、(5)「AIプラス」ガバナンス能力、(6)「AIプラス」国際協力という計6つを重点行動として挙げ、これらの実施を推し進めるとした。

(2)では、AIネーティブの新たなモデル・新業態の育成、産業のスマート化推進、農業のデジタル化・スマート化による構造転換・高度化の加速、サービス業の新たな発展モデルの創出を実施するとした。(3)では、新たなサービス消費のシーンを開拓し、消費の新業態を育成するとした。(6)では、AIの包摂・共有を推進し、AIによるグローバルなガバナンスシステムを構築するとした。

このほか、目標達成のため、モデル、データ、コンピューティング能力、アプリケーション、オープンソース、人材、政策法令、セキュリティーという計8つの面で取り組みを進めるとした。

国家発展改革委員会は意見発表の背景について、AIは重要な応用局面に突入する一方、AIの役割に対する認識の違いや需給ギャップなどの問題があることから、政策支援を強化する必要があると解説した。また、次のステップとして、段階に応じて重点業務を明確にするとした。

(注1)「AIプラス」行動は、2024年3月に発表された同年の政府活動報告で初めて打ち出され、2025年の政府活動報告では、同行動を持続的に推進するとされた。2025年7月31日の国務院常務会議では、同行動の実施徹底に関する意見が審議・可決された。

(注2)政府系シンクタンクの国家信息中心ビッグデータ発展部人工知能処の劉枝処長は3段階の目標について、次のとおり解説した。2027年は意見発表2年後で、同年までの目標では「AIプラス」行動の基礎を固め、短所を補強することを目指す。2030年は第15次5カ年規画(2026~2030年)の終了年で、同年までの目標では「AIプラス」行動の高度化を促進し、その質を向上させることを目指す。2035年は中国が社会主義現代化を実現する年で、同年までの目標は長期計画と強国戦略に照準を合わせており、全面的な発展と牽引の機能を果たすとしている(「21世紀網」8月26日)。

(蔣春霞)

(中国)

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