上海市、本格的に「AI+」行動を実施、2030年までに人型ロボット10万台を製造現場へ導入
(中国)
上海発
2026年05月25日
中国の上海市は5月18日、同市における第15次5カ年(2026~2030年)規画の開始に合わせ、記者会見を開催した。上海市経済情報化委員会の湯文侃主任は、上海市において「人工知能+(AIプラス)」行動を本格的に実施すると発表。上海市がAIによる産業構造の変革を主導し、スマート経済の新たなエコシステム構築において全国をリードする方針を示した(2026年5月19日「中国証券報」)。
具体的な施策として、製造業のスマート化が挙げられた。集積回路、ハイエンド設備、自動車などの重点産業において、10社のモデル企業を牽引役とし、規画期末までに人型ロボット10万台を工場へ導入する。これにより、一定規模以上の工業企業(注1)におけるAIエージェント(智能体)の普及率80%以上を目指すとした。また、科学研究領域では「AI4S(注2)」を活用し、新材料やバイオ医薬品などの分野で100件のコアプロジェクトを育成する計画だ。
中国では、人型ロボットおよびその中核であるエンボディドAI(具身智能)の産業基盤整備が加速している。2026年には、工業情報化部傘下に「人型ロボットとエンボディドAI標準化技術委員会」が設置され、2026年2月には包括的な標準体系が発表されるなど、制度面の整備が急ピッチで進められている(2026年4月16日記事参照)。
製造現場での実装も進んでいる。上海汽車集団の発表によると上海汽車集団(SAIC)のエンボディドAIロボット「能仔1号」は、2026年3月にビュイックの「至境E7」という車種の電池量産ラインへ配備された。同社によると、同ロボットは電芯の搬送や材料供給を担い、技術検証段階から量産ラインへの応用に成功。また、視覚認識、双腕協調、力制御を備え、ナビゲーション誘導による位置決めの精度は±0.1ミリメートル(mm)を達成。さらに処理速度は1セル当たり約2秒、設置面積は従来比15%以下となるなど、作業効率において生産現場での優位性を発揮しているとしている。
(注1)年間の主な業務の売上高が2,000万元以上の工業企業。
(注2)AI4S(AI for Science)とは、AI(特に機械学習・深層学習)を科学研究に応用し、シミュレーションやデータ解析、材料・薬剤探索などの科学計算を高速かつ高精度に行うことで、新しい発見や研究効率の飛躍的向上を目指す「AI for Science(科学のためのAI)」の総称。
(龐婷婷)
(中国)
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