外資系企業に関する政治局決議を公布、質の高い案件の誘致や国内企業との連携を重視
(ベトナム)
ハノイ発
2026年06月19日
ベトナムの共産党政治局(注)は、6月8日付で「外国投資資本経済の発展に関する政治局決議10号(10-NQ/TW、決議10号)」を公布した。2030年および2045年までの国家開発目標の達成に向け、質の高い外資系企業を誘致するための政策方針を示したものだ。現地報道によると、ハイテク投資、技術移転、国内企業との連携強化を重視するトー・ラム共産党書記長兼国家主席の意向を反映したものとみられる(「ベトナムプラス」6月15日)。
具体的には、外国投資資本経済について、労働集約型で加工・組み立てを主体とする案件の割合が高いといった課題を指摘しつつも、国家経済の重要な構成要素と位置付けた。また、中長期的な開発資金を補完するだけでなく、先進的な技術や現代的な経営手法を受け入れるルートとして機能しており、人材の高度化や市場拡大にも寄与するものと明記した。
決議10号の全体目標は、次の3点に整理される。
- 質の高い外資系企業の中長期的な誘致により、国の競争力を強化すること。
- 外資系企業を効果的に管理・活用し、国内経済セクターとの連携などを創出することにより、技術移転や人材育成、グローバルサプライチェーンへの深い参画などを促進し、イノベーションやDX(デジタルトランスフォーメーション)を基盤とする新たな成長モデルに寄与すること。
- 上記により、競争力および戦略的自立性を強化し、2030年および2045年までの国家発展目標の達成に向けた重要な推進力を生み出すこと。
さらに、2030年までの外国投資登録額・実行額や誘致で重点を置く対象、現地化率などの目標を定めた(添付資料表参照)。
具体的な政策の注視が必要
決議10号は、2045年の高所得国入りやそれに向けた経済成長の基盤整備を念頭に、2025年に政治局が公布した4つの決議とも密接に関係するとみられる〔地域・分析レポート「民間企業活性化で経済成長の加速目指す ベトナムの構造改革(前編)」「ベトナム企業との協業の重要性高まる ベトナムの構造改革(後編)」参照〕。
このうち、「民間経済の開発に関する政治局決議68号」では、民間経済を「国家経済の最も重要な原動力」と位置付け、国内の民間企業の発展・成長を促す新たなインセンティブの方向性などに言及している。加えて、主要な外資系企業のプロジェクトに対し、国内サプライチェーン活用計画策定を義務付けるとする記述などもあり、決議10号との相互補完的な側面がうかがえる。
今後は、決議の具体化に向けた法制度の動向を注視するとともに、現地企業との連携強化の方策などを模索することが、日系企業にとっても一層重要になりそうだ。
(注)政治局は、共産党の意思決定機関。党大会や中央委員会の決議の実現を指導・監督し、党の活動方針や人事などを実質的に決定している。
(萩原遼太朗)
(ベトナム)
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