米商務省、CHIPSプラス法に基づき、AI・量子スタートアップのSandboxAQに5億ドル助成

(米国)

ニューヨーク発

2026年06月19日

米国商務省は6月17日、CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)に基づき、サンドボックスAQ(SandboxAQ)に対し5億ドルを助成すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同社の人工知能(AI)駆動型材料探索プラットフォームの開発を加速させ、半導体材料におけるボトルネックやサプライチェーンリスクに対処することを目的としている。

SandboxAQは、グーグルの親会社であるアルファベットから2022年に独立し、AIや量子暗号技術によるソリューションを扱うスタートアップだ。今回、助成対象となった具体的なプログラムは次のとおり。

  • 半導体製造用有機フッ素化合物(PFAS)の代替品:環境毒性や生物蓄積のリスクをもたらすことなく、半導体製造設備の性能要件を満たす、熱伝達、潤滑、絶縁コーティング、および表面処理用途向けの、PFASを使用しない(PFASフリー)化学物質の開発。
  • 半導体製造用触媒:半導体製造における前駆体の生成および排ガスの低減のための、次世代高純度触媒の開発。
  • レアアースを使用しない半導体製造用磁石:米国内産元素を用いた、レアアースを使用しない(レアアースフリー)磁性材料の開発。半導体製造装置の重要な構成要素であるネオジム系永久磁石は、世界生産の90%以上を中国が支配している。代替材料を確立することで、海外依存リスクを低減できる。
  • 半導体施設向けバックアップ電源用の先進的化学電池:半導体製造に必要な、中断がなく精密に制御され、かつ局所的な電力供給を確保するための、新しい固体またはハイブリッド型のエネルギー貯蔵ソリューションの開発。多くのバックアップ電源システムは、主に中国から調達される重要鉱物(リチウム、コバルトなど)に依存している。米国内で入手可能な材料を用いた電池製造技術の開発は、海外のサプライチェーンの混乱に対する脆弱(ぜいじゃく)性を軽減する。

同社は将来的に、米国の製造パートナーと提携し、国内での量産と商用化を推進する。

今回の発表に際し、ハワード・ラトニック商務長官は、「(ドナルド・)トランプ大統領は、米国の半導体サプライチェーンを強化し、国家安全保障を確保することに尽力している。今回の助成金は、重要材料の発見とイノベーションを加速させ、外国の支配下にある材料への依存度を低減させるだろう」とその意義を強調した。なお、商務省は今回の助成にあわせ、SandboxAQの支配権を持たない少数株主として株式を取得する。

商務省傘下の国立標準技術研究所(NIST)は2025年9月に、助成対象とする米国のマイクロエレクトロニクス技術を前進させる先端半導体やAI、量子技術などの研究開発プロジェクトの募集を開始した(2025年9月30日記事参照)。2026年5月には、量子コンピューティングに関係する米国内企業9社に対し、総額20億1,300万ドルの拠出を発表しており(2026年5月22日記事参照)、今回の発表はこれに続くものとなっている。プロジェクトの申請は2029年9月30日まで受け付けている。

トランプ政権はAI、半導体、重要鉱物など、政権が重視する分野に補助金を支出し、米国内での研究開発強化や産業育成を図りつつ、同時に、同盟国らと協力してこれら分野の調達先を多様化し、サプライチェーンの強靭(きょうじん)化を図っている(2026年2月6日付地域・分析レポート参照)。

(赤平大寿)

(米国)

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