米税関、IEEPA関税還付「フェーズ2」を6月29日開始と表明
(米国)
ニューヨーク発
2026年06月12日
米国税関・国境警備局(CBP)は6月9日、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき徴収された関税の還付について、「フェーズ2」を6月29日から開始する見込みだと明らかにした。米通商専門誌「インサイドUSトレード」(6月11日)が報じた。
連邦最高裁判所は2026年2月、IEEPAに基づいて課税された関税を無効と判断した。その後、国際貿易裁判所(CIT)は3月に、CBPに対してIEEPAに基づいて徴収した関税を還付するよう命じた。CITはその際、訴訟していない企業も含め、IEEPA関税を原則全ての輸入者に還付するよう指示した。これを受けCBPは、IEEPA関税を還付する新たなシステム「統合通関管理・処理システム(CAPE)」を構築し、4月20日から、「関税が未清算または清算後80日までの輸入申告」を対象にした「フェーズ1」の運用を開始した。CBPはこれまでに3度、CITに対して還付に関する進捗報告を行い、5月22日時点で約850億ドル分の還付が認められている(2026年5月28日記事参照)。
一方で、フェーズ1で対象とならない輸入申告に対する還付手続きについては、これまで詳細が公表されていなかった。この点についてCITは、CBPに対し対応方針の説明を求め、6月9日に証言するよう要請していた。
CITが公開した証言の音声記録を基づく「インサイドUSトレード」(6月11日)の報道によると、CBPのスーザン・トーマス執行副局長は、フェーズ2では、調整(reconciliation)対象としてフラグが付された輸入申告および輸入申告タイプ09(調整申告)が対象となると述べた(注1)。IEEPAに基づいて徴収した関税額1,660億ドルのうち約287億ドルが対象となる。
さらにトーマス氏は、「フェーズ3」として、清算が最終確定している114億ドル分についても還付手続きの対象とする方針を明らかにした。これにより、IEEPAに基づいて徴収された関税総額の90%以上が、フェーズ1~3でカバーされる見込みだ。フェーズ2および3の詳細については、追ってCBPから正式に発表される見通しだ。
なお、トランプ政権はIEEPA関税の還付を巡り、全ての輸入者への還付を命じたCITの判断は、権限を逸脱しており違法だとして、連邦控訴裁判所に控訴している。これはフェーズ2以降の還付手続きを念頭に置いた対応だとの指摘がある(2026年6月4日記事参照、注2)。IEEPA関税還付については、今後も注視する必要がある。
(注1)輸入時に最終的な取引価格や品目分類、関税免除の適用条件などが未確定の場合、税関と輸入者の合意の下で、暫定的な情報に基づき申告(エントリー)を行う。この際、後日修正することを示すためにフラグを設定する。詳細が確定した時点で、輸入者は輸入申告タイプ09として再申告し、関税を清算する。
(注2)トランプ政権は、IEEPAに基づく追加関税を無効とした最高裁の判決自体は争っていない。
(赤平大寿)
(米国)





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