ニュージーランドとシンガポール、必須物資貿易に関する協定に署名

(ニュージーランド、シンガポール、中東)

シドニー発

ニュージーランド政府とシンガポール政府は5月4日、両国で合意された特定品目には、輸出制限を課さないことを約束する「必須物資貿易に関する協定(AOTES)」に署名した(ニュージーランド政府メディアリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

同協定は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる世界的なサプライチェーンの混乱を背景に、ニュージーランドとシンガポールを含めた多国間の合意のもとで2020年4月に発表された、サプライチェーンの維持・確保に関する共同宣言を基礎としている。2022年に、2国間のサプライチェーン強靭(きょうじん)化に向けた検討のための作業部会が設置され、2025年10月には、2国間関係が包括的戦略的パートナーシップに格上げされたタイミングで、AOTESの実質的な交渉の妥結が発表されていた(2025年10月14日記事参照)。同協定には、指定された特定の品目に関して、有事の際の輸出制限を禁止する規定が盛り込まれている。両国での国内手続きが完了次第、既存のニュージーランド・シンガポール経済緊密化連携協定(ANZSCEP)の一部となる。ニュージーランド側は燃料、金属、医療機器など、シンガポール側は主に牛肉や小麦などの食料を特定の品目として指定している。

ニュージーランドのクリストファー・ラクソン首相はメディアに対して、「中東情勢により燃料供給の見通しが不透明となる中、サプライチェーンの強靭性を高めることは何よりも重要。本協定は世界初の試みであり、両国の関係をより深化させるものだ」と伝えた。ニュージーランドは、2022年に国内最後の製油所が閉鎖されて以降、燃料需要の全てを海外に依存し、その約3分の1をシンガポールから輸入している(添付資料表参照)。現地報道によれば、現時点(本稿執筆時点)で、国内備蓄は十分と報じられているものの、備蓄が減少すれば、価格に圧力がかかる可能性が示唆されている。そのため、シンガポールとの関係強化による安定供給への国内における期待感は大きい。

なお、両国ともに同協定への他国の参加を歓迎するとしている。また、ニュージーランドは、2026年7月に、貿易依存度が高い中小国で構成される「貿易と投資の未来パートナーシップ」(2025年9月22日記事参照)の会合を開催予定としている。

(渡部卓人)

(ニュージーランド、シンガポール、中東)

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