ジェトロ、中東近況報告会を開催、情勢緊迫の中で企業活動再開の動きも

(日本、中東、アラブ首長国連邦、サウジアラビア)

企画部企画課

2026年05月29日

ジェトロは5月28日、「第3回中東諸国における近況報告会」をジェトロ本部(東京)で開催し、日本企業などから約550人が参加した(オンライン視聴含む)。経済産業省通商政策局中東アフリカ課の渡邉雅士課長とジェトロの中島紳行前ドバイ事務所長が登壇し、中東情勢は依然緊迫する一方、エネルギー供給は回復基調で、日本企業の現地活動も再開が広がっているとの見方を示した。

渡邉課長は、2023年10月のイスラエルとハマスの衝突以降の不安定となっていたが、2026年2月末の米国・イスラエルとイランの衝突とイランの湾岸諸国などへの攻撃で、地域情勢が一段と緊迫したと説明。湾岸諸国の中では、イランから多数の攻撃を受けるアラブ首長国連邦(UAE)がイランへの非難姿勢を強める一方、サウジアラビアは仲介外交を志向するなど、主要国間で戦略の違いが顕在化。同地域は「不安定な安定」状態で、短期的な変動に左右されない判断が重要と指摘した。

エネルギー面は、ホルムズ海峡の影響で日本の原油調達は一時低下したが、米国などからの代替調達や輸送ルート多様化で回復。代替調達率は4月に約25%だったが、5月は約6割、6月は7割以上と上昇見通しで、供給の多角化が進んでいる。

安全面は、日本の外務省が湾岸諸国の危険情報をレベル3(渡航中止勧告)としているが、5月13日に「真にやむを得ない事情がある場合には渡航を妨げない」などとするただし書きを追加(2026年5月14日記事参照)。これにより、安全対策を前提とした企業の現地活動再開が可能となる環境が整備されたという。

にぎわいを取り戻しつつあるドバイ

中島前ドバイ事務所長は、2026年春にUAEにミサイルやドローンでの攻撃があったものの、UAE側の防空体制で大きな混乱は回避されたと報告。ドバイは3月に人出が減少したが、4月下旬以降は経済活動が徐々に回復し、生活物資の供給も維持されているという。

企業対応は、責任者が現地で安全状況を確認後、日本本社と協議し、駐在員を段階的に復帰させるケースが一般的とした。また、イランからの攻撃は金融機関やIT関連施設など特定の拠点を狙う傾向があり、情報収集に基づくリスク回避の重要性を示した。

質疑応答で渡邉課長は、短期的な情勢変動に過度に反応せず、現地との関係維持と継続的な情報収集による信頼構築が重要と指摘。また、現地ではインフラ復旧や発電、水資源分野などで需要拡大が見込まれ、日本企業のビジネス機会が広がる可能性がある一方、国別のリスクを踏まえた慎重な対応が求められるとした。

中東情勢と世界各国の動きは「イスラエル・米国とイランの衝突を巡る中東情勢関連情報」、ホルムズ海峡や代替ルートなどの状況は「激動の中東情勢:中東各国への影響と展望」も参照。

写真 経済産業省通商政策局中東アフリカ課の渡邉雅士課長(ジェトロ撮影)

経済産業省通商政策局中東アフリカ課の渡邉雅士課長(ジェトロ撮影)

写真 ジェトロの中島紳行前ドバイ事務所長(ジェトロ撮影)

ジェトロの中島紳行前ドバイ事務所長(ジェトロ撮影)

(福山豊和)

(日本、中東、アラブ首長国連邦、サウジアラビア)

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