インドの即時決済システムUPI、2025年度は取引件数・金額とも過去最高に

(インド)

ムンバイ発

2026年05月11日

インド財務省は4月30日、統合決済インターフェース(Unified Payments Interface:UPI)の2025年度(2025年4月~2026年3月)の実績を公表した(添付資料参照)。同年度のUPIの取引件数は2,416億件超、取引金額は約314兆ルピー(約534兆円、1ルピー=約1.7円)に達し、いずれも過去最高を更新した。UPIは個人間送金や小口決済を中心に急速に普及し、インドのデジタル決済を支える基幹インフラとしての地位を一段と強めている。

UPIは、2016年にインド準備銀行(RBI、中央銀行)とインド国家決済公社(NPCI:National Payments Corporation of India)が設計した即時決済インフラシステムだ。インド政府の「デジタル・インディア」政策やスマートフォンの普及、新型コロナウイルスのパンデミック下での非接触決済需要の高まりなどを背景に、短期間で爆発的に普及した(2025年4月24日付地域・分析レポート参照)。またUPIは、アラブ首長国連邦(UAE)やシンガポール、ブータンなど計8カ国でもインドとの国際決済に利用可能となっている(2025年10月8日記事参照)。

政府の発表では、UPIの成長要因として、加盟店数の増加、銀行口座開設の進展、キャッシュレス化を後押しする政策支援などを挙げている。都市部に限らず、準都市部や農村部でも利用が拡大しており、小規模商店や零細事業者、個人事業主の間でも日常的な決済手段として定着しつつある点が特徴だ。UPIは複数の銀行口座や決済アプリ間で相互運用が可能で、利便性の高さも普及を後押ししている。

その勢いは2026年度に入っても衰えることなく、2026年4月単月で取引件数約223億5,000万件、取引金額29兆ルピーを記録した。インドのフィンテック企業「PayNearby」の創業者でマネージングディレクター兼CEOのアナンド・クマール・バジャージ氏によれば、「デジタル決済はインド国内において、試行段階から日常インフラの一部となりつつある。また、都市部のみならず地方や農村部においても日々の取引でデジタル決済が積極的に活用されている」との見方を示している(「ファイナンシャル・エクスプレス」紙5月1日)。

(野本直希)

(インド)

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