ドイツ自動車工業会、雇用維持には技術的中立性が必要と強調

(ドイツ、EU)

ミュンヘン発

2026年05月28日

ドイツ自動車工業会(VDA)は5月13日、ドイツ自動車産業は2035年までに2019年比で約22万5,000人分の雇用が失われる恐れがあると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2019年から現在まで10万人分の雇用が削減されているため、今後さらに12万5,000人減少することになる。

VDAによる2024年の調査では、気候中立型モビリティーへの移行により、2035年までに2019年比で約19万人分の雇用が失われると予測していた。その要因は、電気自動車(EV)の製造は内燃機関車と比較し単純で必要部品の数も少ないことで、特に自動車部品産業で雇用が減るとされていた。

しかし、実際には予想よりも早いペースで雇用削減が進んでいる。その理由として、ドイツのビジネス環境が悪化し、国際的な競争力が低下しつつあるため、十分な雇用が創出されていないことにあるとしている。気候中立やデジタルなモビリティーへの移行に関する新しい雇用はドイツ国外で生まれているとした。

VDAよると、今後の雇用を左右するのは駆動方式の組み合わせだ。現在のEUの乗用車・バン二酸化炭素(CO2)排出基準規則(2023年3月30日記事参照)では、2035年以降の乗用車の内燃機関搭載車の生産を実質禁止しているため、この規制は自動車生産に影響を与える。現行のCO2排出規制よりもプラグインハイブリッド車(PHEV)やレンジエクステンダー(注)、再生可能燃料を使う内燃機関車の割合が増加すれば、雇用削減ペースを鈍化させ約5万人分の雇用が維持できるとVDAは見込む。

なお、欧州委員会は2025年12月に、2035年以降の新車の内燃機関搭載車販売を認める改正案を発表した。「2021年比で100%削減」としていた2035年のCO2排出削減の目標を「90%削減」に引き下げ、残る10%はEU域内産の低炭素鉄鋼または合成燃料(e-fuels)やバイオ燃料の使用により相殺可能とした。今後EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会で審議される(2025年12月25日記事2025年12月25日記事参照)。

VDAのヒルデガルド・ミュラー会長は、「(雇用維持のためには)真の意味での技術的中立性が必要だ。駆動方式の多様性には強みがあり、特に気候目標の達成のために重要だ。技術的中立性は掛け声ではなく、真に実現可能でなければならない。この点では欧州委の提案はまだ不十分であるため、欧州議会およびEU加盟国は、今後の交渉で柔軟性を確保しなければならない」とコメントした。

(注)EVの航続距離延長を目的に搭載される小型発電機からなるシステム。

(アンナ・グリンフェルダ)

(ドイツ、EU)

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