第1四半期の日本産水産物のブラジル向け輸出が前年同期比で大幅増

(ブラジル、日本)

サンパウロ発

2026年05月18日

日本の財務省が4月28日に発表した貿易統計によると、日本産水産物のブラジル向け輸出が急伸している。ブリ(フィレ)の2026年第1四半期(1~3月)の輸出額は3,191万6,000円に達し前年同期比で大幅に増加、2025年通年(1~12月)実績の約56%をすでに達成した(注1)。

日本産水産物のブラジル向け輸出本格化は2025年から

2025年も日本産食品のブラジル向け輸出が大きく伸長した(2026年2月17日記事参照)。これまで流通が限定的だった日本産水産物などの本格的な輸出開始によるものだ。ブラジルでは、日本食人気の定着を背景に、高品質な日本産水産物への関心が高まっている。ただ、ブラジル特有の規制や商習慣などの課題も多く、日本の水産物生産各社は試行錯誤を重ねて市場開拓を進めている。

水産物の冷凍保管、輸出を手掛けるオーケーコーポレーションは2025年9月、日本産マグロのブラジル向け輸入を開始した(2025年10月28日記事参照)。同社の小川ケンジ社長は「現地で提供されているスペイン産など他国産マグロの品質は必ずしも高くなく、日本産には十分な商機がある」と話した。一方、ブラジルに輸入後は、同社の強みであるマイナス60度の超低温コールドチェーンを現地で生かすため、適切な解凍方法の理解促進が重要な課題となった。小川氏は「日本の料理人が行うマグロの解凍や取り扱いが現地では浸透しておらず、1店舗ごとに丁寧に伝える必要がある」と指摘した。技術面に加え、食材に対する価値観、商慣習の違いなどさまざまな課題を挙げつつ、「ブラジルの日本産水産物市場の可能性は無限大だ」と語った。

日本産の水産物などの海外輸出を行う北海道資源貿易は、約2年前からブラジルで市場調査や商談を重ねてきた。2024年10月にサンパウロ州内で開催されたシーフードショーに初出展し、ブラジルではまだ市場に流通していない日本産ホタテの試食提供などを通じて、現地の高い関心を確認した。一方で、ブラジル農務省(MAPA)向けの手続き、とりわけ施設・ラベル登録(注2)など規制面のハードルの高さがあることも分かり、数カ月かけてハマチなどの登録を完了させた。2025年10月の同展示会に再出展した際には、ハマチなどブラジルでニーズの高い品目の動物由来製品検査部(DIPOA)登録を完了していたことで商談が具体化した。2026年に入り初めて現地の水産輸入業者との契約締結に成功した。同社の坂本安弘社長は「参入時のハードルはあるが、2億人市場の成長余地は大きい。『スシ』を入口に、現地の食文化とも融合し、より広い市場を狙いたい」と述べた。

(注1)財務省貿易統計に基づく。対象はHSコード0304.89-200(ぶりフィレ冷凍)。2025年1~12月のブラジル向け輸出総額は5,672万4,000円。

(注2)ブラジルへ輸出される水産物を含む動物由来製品は、ブラジル農務省(MAPA)動物由来製品検査部(DIPOA)のシステム(PGA-SIGSIF)への登録が義務付けられている。詳細はジェトロが作成したレポート〔ブラジル向け水産物輸出ガイドブック―動物由来製品検査部(DIPOA)登録の手順―(2024年3月)〕を参照。

(堀池桃代)

(ブラジル、日本)

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