河南省で岩塩空洞を利用した水素貯蔵実証プロジェクト開始

(中国)

武漢発

2026年05月08日

中国科学院武漢岩土力学研究所は4月25日、アジアで初となる岩塩空洞を利用した水素貯蔵の実証プロジェクトが、河南省平頂山市で稼働したと発表した。同研究所と石炭や化学産業の大手国有企業である中国平煤神馬集団が共同で実施する。同プロジェクトの開始により、水素エネルギーの大規模かつ低コストでの貯蔵が可能となる。

このプロジェクトは複数の技術的ブレークスルーを実現した。中でも水素環境下での材料腐食や高圧シールなどの技術的難題を克服した。水素脆化(ぜいか)に耐えるケーシングや高気密性坑口装置などの重要装備を独自に開発し、中核設備の100%国産化を実現するとともに、自律的かつ制御可能な岩塩空洞水素貯蔵技術・装備システムを構築した。さらに、第15次5カ年(2026~2030年)規画期間における水素エネルギーの大規模貯蔵という課題の解決に向けた成熟した技術的アプローチを提供した。国家のエネルギー安全保障の確保においても、自主制御可能な地下水素貯蔵システムの構築、化石燃料への対外依存度の低減といった重要な役割を果たすとしている。

水素エネルギーについては、2025年10月14日には国家能源局が水素エネルギーパイロット事業を発表し、中国各地で水素の大規模製造や貯蔵などに関するプロジェクトが進められている(2025年10月21日記事参照)。また第15次5カ年規画でも量子科学技術、バイオ製造などと並んで未来産業と位置付けられている。3月16日には工業情報化部など3部門が水素エネルギーの総合的活用に関するパイロット事業の実施に関する通知を発表し、都市群によるパイロット事業を2030年までに実施するなど、水素エネルギーに関する取り組みが着実に進められている(2026年3月23日記事参照)。

(高橋大輔)

(中国)

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