経済戦略見直しの最終提言発表、国際情勢変化を受けた強靭性強化

(シンガポール)

シンガポール発

2026年05月20日

シンガポールのガン・キムヨン副首相兼貿易産業相は5月13日、経済戦略見直し(ESR)の最終提言を発表した。提言では、急速に変化する国際情勢を踏まえ、経済強靭(きょうじん)性(レジリエンス)の強化や人工知能(AI)の実装拡大などを柱とする8つの重点戦略を打ち出した。

ガン副首相が委員長を務める政労使タスクフォース「シンガポール経済レジリエンス・タスクフォース(SERT)」は2025年8月、5つの委員会を設置し、経済戦略の見直しを進めてきた。2026年1月には中間報告を発表していた2025年8月7日記事2026年2月6日記事参照)。ガン副首相はESRについて、「目先の課題への対応ではなく、シンガポールの競争力を長期的に維持し、良質な雇用を創出するとともに、分断や対立が激化する世界の中で存在感を維持するためのものだ」と述べた。

ESRでは、新たに「経済レジリエンスの構築」を戦略の柱に加え、計8つの重点戦略を提言した。具体的には、(1)強みを持つ分野での世界的主導権確立と将来成長に向けた大胆な投資、(2)AIソリューション分野とAI主導型経済におけるグローバルリーダーとしての地位確立、(3)接続性と信頼性を備えたハブ機能の強化、(4)起業・成長・海外展開を促す企業エコシステムの育成、(5)多様で良質な雇用の創出、(6)異業種への転換や再就職を支える支援体制の強化、(7)生涯学習と自律的なキャリア形成に向けた労働者支援、(8)経済レジリエンスの構築、を掲げた(注)。

このうち経済レジリエンスの構築では、エネルギー備蓄や調達先の多角化を通じてエネルギー安全保障を強化するほか、低炭素化や気候変動対応への投資を継続する方針を示した。また、主要産業と連携して重要サプライチェーンの脆弱(ぜいじゃく)性を特定・対応するほか、必要不可欠な物資の安定確保に向け、信頼できる国・地域とのネットワークの拡大を進める。

政府は、今回提出されたESRの最終提言を精査した上で、産業界や労働界などと連携し、順次実行に移すとしている。

(注)今回のESRの最終提言のサマリーは政府のサイトPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照。政府は詳細版の最終レポートを近く公表する予定。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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