タイ政府、米国と協議、301条調査に対し意見書提出

(タイ、米国)

バンコク発

2026年05月07日

タイのエクニティ・ニティタンプラパス副首相兼財務相は4月15日、米国の首都ワシントンで、米通商代表部(USTR)のジェミソン・グリア代表と会談外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。両国間の貿易の改善をめぐる協議において、タイは協力を表明し、米国は関係強化に向けた提言を行った。

会談と同日に、タイ商務省は、USTRが実施している1974年通商法301条に基づく調査に対して、意見書(注1)を提出した。調査はトランプ政権が3月に開始し、タイ側の供給過剰(2026年3月12日記事参照)、または強制労働(2026年3月13日記事参照)への関与の疑いを提起している。

商務相は5月上旬に訪米、早期決定を予想

タイ政府は、USTRが「タイの製造業は2年連続で稼働率が60%を下回っている」ことを根拠に、供給過剰と主張している点について、自動車やエレクトロニクスなど主要産業でおおむね7割以上の稼働率を維持しているとのデータを提示した(注2)。また、タイの対米輸出の85.5~92.5%は、原材料や中間財で、米国の競争力維持に不可欠とも指摘した。さらに、タイの対米輸出上位50社(2025年)をみると、輸出額の8割以上を米国企業または日本や欧州など「同盟企業」が占め、対米輸出は(供給過剰ではなく)米国市場の実需を反映しているとした。

強制労働については、タイは、ILO条約で禁止(第29号、第105号)を約束しているとした。また国内法として、禁止違反に刑罰を科す人身売買防止法や、賃金や就労時間、労働条件など雇用主の義務を規定する労働保護法などを挙げた。

直近では、人権・環境デューディリジェンス(HRDD)法案を通じて、企業が人権・環境上の説明責任を負うよう取り組んでいることに触れた。食品・農業向けの「Trace Thai外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」や労働許可をデジタル管理する「e-Work Permit外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」など、トレーサビリティー向上のツールも整備しているという。

スパジー・スタムパン副首相兼商務相は、USTRへの説明のため、5月上旬にワシントンを訪問する。同相によると、「5月中旬に、米国の事務方に説明する。USTRは、それから7日以内に検討を行い、タイに対する措置を含め、調査結果を発表する」と述べた(「ネーション」紙4月16日付)。

(注1)301条調査に関して、過剰生産の疑いに対する意見書は商務省外国貿易局(DFT)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、強制労働への関与の疑いに対する意見書はDFTおよび労働省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから提出されている。

(注2)例えば自動車部品産業の稼働率は67.4~94.9%(2021~2025年)、半導体・集積回路産業は72~90%(同)と報告している。

(藪恭兵)

(タイ、米国)

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