商務部、EUサイバーセキュリティー法改正案に対し、産業・サプライチェーン規定に基づく対応示唆

(中国、EU)

調査部中国北アジア課

2026年05月07日

中国商務部報道官は4月23日、EUの「サイバーセキュリティー法改正案」について、EUが中国の意見や修正提案を重視し真剣に考慮することを希望すると述べつつ、中国企業が同法案によって差別的待遇を受けた場合、中国側は「対外貿易法」や「産業チェーン・サプライチェーンの安全に関する国務院規定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(2026年4月8日記事参照)などに基づいて措置を取ることができると表明した。

中国商務部が4月20日に発表した報道官談話によると、同部は4月17日に欧州委員会に提出した意見において、同法案はサイバーセキュリティーやサプライチェーンの安全性を名目として主観的・恣意(しい)的に「非技術リスク」の要素を導入し、「サイバーセキュリティー上の懸念国」や「高リスクなサプライヤー」のリストを策定し、かつ、エネルギーや交通、情報通信技術(ICT)など18の業種において、リストに掲載された国やサプライヤーをEU関連のサプライチェーンから排除するものだと指摘した。

また、中国側は意見において、同法案は最恵国待遇や内国民待遇などのWTOの基本原則や多数の協定・規則に反しているとした。さらに、同法案は中国とEUの経済貿易関係を実質的に損なわせ、グローバルの産業・サプライチェーンにも深刻な打撃を与えるとした。その上で、EU側に同法案から「サイバーセキュリティー上の懸念国」や「非技術リスク」関連の規定を削除し、「高リスクなサプライヤー」の認定基準や関連制限措置を削除あるいは修正するよう求めた。なお、中国側は同法案の進捗動向を注視するとしつつ、本件に関してEUとの対話実施の希望も表明している。

EUの産業加速法案に対しても意見を提出、対抗措置を示唆

このほか、商務部は4月27日、欧州委員会が3月に発表した「産業加速法案」(2026年3月13日記事参照)についても4月24日に同委員会に意見を提出したと発表した。同意見では、同法案が電池、電気自動車(EV)、太陽光発電、重要原材料の4つの新興戦略産業への外国投資について多数の制限的要件を設け、かつ、政府調達や政府支援策において「EU域内産」を要件とする排他的条項を設けていることが、重大な投資障壁で制度的差別にあたると指摘した。同法案は中国とEUの指導者の重要な合意にも反するもので、中国企業のEUへの投資マインドを大きく損なわせるものであるとも評した。その上で、EUに同法案から外国投資者に対する差別的要求や現地調達要件、知的財産権や技術の強制移転要件、政府調達に関する制限などの内容を削除するよう求めた。商務部は本件についてもEU側との対話を希望するとしつつ、EUが立法を強行する場合には対抗措置を取らざるを得ないと表明している。

(小宮昇平)

(中国、EU)

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