中東諸国の4月の原油生産は前月比で大幅減
(中東、世界、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、イラク)
調査部中東アフリカ課
2026年05月15日
中東情勢悪化により、ホルムズ海峡の事実上の封鎖やエネルギー関連施設が攻撃を受け、中東産油国の資源輸送や原油生産に影響を与えている(2026年4月10日付地域・分析レポート「中東情勢悪化がホルムズ海峡に与える影響」参照)。このような中、エネルギー関連機関がそれぞれの機関の推計や予測も含む原油生産量や石油需要などを発表した。
米国エネルギー情報局(EIA)は5月12日付プレスリリース
で、イラク、サウジアラビア、クウェート、アラブ首長国連邦(UAE)、カタール、バーレーンなどにおいて、日量1,050万バレルの原油生産が停止されたとの推計を発表した。また、ブレント原油は4⽉に1バレル平均117ドルと上昇を見せており、EIAは5月、6月に106ドル程度になるとの予測を示した。EIAの予測ではホルムズ海峡が5月下旬まで事実上封鎖された状態が続くと想定しているが、6月以降に輸送が徐々に再開され、年内に中東情勢悪化前の水準に戻ると見込んでいるとした。
OPEC(注1)は5月13日、5月版石油市場月報
にて、OPECプラス(注2)の4月の原油生産は前月(3月)比で日量174万バレル減の日量3,319万バレルで、2025年平均の日量4,193万バレルと比べても減少した。サウジアラビア、クウェート、イラク、イランなど中東諸国で大幅な落ち込みをみせた。なお、UAEは2026年5月1日に脱退した(2026年4月30日記事参照)が、4月の統計にはOPECとして数値が計上されている。
OPECは5月3日付プレスリリース
にて、2023年以降に「追加自主減産」を実施するOPECプラス加盟の7カ国(サウジアラビア、ロシア、イラク、クウェート、カザフスタン、アルジェリア、オマーン)が減産方針の緩和も議論し、柔軟な対応をすることの重要性を再確認したと発表した。
世界の石油需要にも影響
OPECの月報によると、2026年の世界の石油需要(年間平均)は、前年比で日量117万バレル増の日量1億633万バレルと予測を示した。2027年にはさらに日量154万バレル増加するとの見通しだ。
一方、OPECの需要増との予測に対し、国際エネルギー機関(IEA)の5月13日付石油月報においては、2026年の世界の石油需要は、前年比で日量42万バレル減少し、日量1億400万バレルになると、需要減との予測を示した。また、現在、石油化学および航空燃料が大きな影響を受けているが、今後、石油価格高騰、経済の悪化や需要抑制策が消費にさらに影響を与えるという。なお、IEAはホルムズ海峡の封鎖の影響を受けた湾岸諸国の原油生産量は、中東情勢悪化前の水準を日量1,440万バレル下回ったとする。
中東情勢と世界各国の動きは「イスラエル・米国とイランの衝突を巡る中東情勢関連情報」「激動の中東情勢:中東各国への影響と展望」も参照。
(注1)イラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラ、リビア、アルジェリア、ナイジェリア、ガボン、赤道ギニア、コンゴ共和国で構成。UAEは2026年5月1日に脱退。
(注2)OPECプラスは、OPEC加盟国に加えて、アゼルバイジャン、バーレーン、ブルネイ、ブラジル、カザフスタン、マレーシア、メキシコ、オマーン、ロシア、スーダン、南スーダンで構成。
(井澤壌士)
(中東、世界、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、イラク)
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