日本の2025年乙類焼酎輸出額は前年比16%増、ウイスキーに続く輸出拡大を目指す
(日本、英国)
熊本発
2026年05月21日
日本酒造中央組合は3月13日、2025年の単式蒸留焼酎(乙類焼酎)の輸出総額は15億6,000万円と、2024年比で16%増加したと発表した。輸出先上位国(金額)には中国、韓国などの東アジア地域や、シンガポール、ベトナムなどの東南アジア地域、米国、カナダなどが含まれた。
欧州諸国は金額・数量ともに輸出先の上位10カ国には入っていないが、農林水産省が4月に発表した「2025年農林水産物・食品の輸出実績(品目別)
」によると、ウイスキーの輸出額の上位3位、4位にオランダ(61億4,000万円)、フランス(36億4,000万円)が入っており、EUへの輸出額は106億7,000万円と輸出額全体の2割強を占める(2026年4月21日記事参照)。日本産ウイスキーが受け入れられている欧州諸国に向け、成功例に続くかたちで同じく蒸留酒である焼酎の輸出拡大を目指す取り組みが行われている。
ジェトロでは、かねてより欧米での焼酎の販路開拓を支援している。ここ数年の欧州での球磨(くま)焼酎(注)をテーマとした商談会や欧州を含む海外のバイヤーを産地に招いて行う視察・商談会などの実施はその一環だ(2025年12月26日記事参照)。
ロンドンのレストラン格付け誌ミシュランガイド掲載のすし店イール・スシ(eel sushi)では、熊本県人吉市に本社を置く高橋酒造が手掛ける「金しろ」が2025年10月から提供開始となった。同すし店はミシュラン1つ星獲得店「ドリアン(Dorian)」のオーナーであるクリス・ド・シルバ氏が手掛け、2025年5月にオープンした素材の持ち味を最大限に引き出した寿司(すし)を提供する、モダンで洗練された店舗である。
イール・スシ(eel sushi)の外観(eel sushi提供)
高橋酒造は球磨焼酎最大手の製造事業者であり、「白岳」および「白岳しろ」などに代表される多様な銘柄を国内外で販売している。今回ロンドンで採用された「金しろ」は、複数のたるで熟成させることによるウイスキーのような芳醇(ほうじゅん)な香りが特徴の本格米焼酎である。
取り扱いが始まったきっかけは、イール・スシの隣にあるギャラリー「Keiko Uchida」で行われた完全招待制レセプションで「金しろ」が提供されたことである。このイベントで高橋酒造はゲスト向けドリンクとして「金しろ」を振る舞い、アート関係者や富裕層に直接体験してもらう機会をつくった。イール・スシの関係者もギャラリー内で試飲し、その場で取り扱いを決定した。
Keiko Uchidaの内観(Keiko Uchida提供)
同社海外営業本部の出来田秋美氏は、「『金しろ』は、たるで熟成していることからウイスキーに近い風味を持っており、海外の方にも非常になじみやすい。そのため、焼酎の認知度がまだ高くない海外市場では、焼酎を知っていただくきっかけとして、とても有効な存在になり得ると考えている。その他、日本酒に近い香りを持つ『銀しろ』など、現地の消費者にとって受け入れやすい風味を備えた商品を中心に、海外販路の一層の拡大を図っていきたい」と語った。
今回提供開始となった「金しろ」(高橋酒造提供)
(注)国産米を主原料として熊本県人吉・球磨地域で製造される本格焼酎であり、産地限定の地理的表示(GI)保護を受ける伝統的な地域ブランド。
(小林慶、舟根宏紀)
(日本、英国)
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