酒類の海外バイヤーを招き、大分・福岡県で視察・商談会を開催

(日本、米国、カナダ、ハンガリー、カンボジア、ラオス)

農林水産食品部商流構築課

2025年12月26日

ジェトロは1224日、日本産酒類を求める海外5カ国のバイヤーを大分県と福岡県に招聘(しょうへい)し、両県の日本酒・焼酎メーカーとの視察・商談会を実施した。参加したバイヤーは米国、カナダ、ハンガリー、カンボジア、ラオスからの5社で、いずれも日本産アルコール飲料を取り扱う輸入事業者だ。

124日に開催した商談会に先立ち、バイヤーは2日と3日、大分県と福岡県の日本酒・焼酎メーカー7社を視察し、蔵見学や日本酒と焼酎造りに共通する麹(こうじ)造りの体験・試食などを通して、日本産酒類に関する知識を深めた。

写真 製麹体験の様子(ジェトロ撮影)

製麹体験の様子(ジェトロ撮影)

商談会には、九州地域の5県から酒造メーカーや商社など計17社のサプライヤーが参加し、合計35件の商談が行われた。商談に参加したバイヤーや通訳者からは「日本酒や焼酎のように日本文化に根差した商品は、その背景を理解するために高度な知識が必要。各事業者が自社のこだわりや特徴について、(的確な通訳を可能とする)丁寧な説明を心掛けることで、より生産的な商談となる」との指摘があった。

酒類に限らず、事業者の強みや特長は、基本的な製法を応用した新たな加工技術の開発、地域に根差した原料の使用など長年にわたる自社製品の差別化努力によるところが大きい。そういった各事業者が持つ魅力をバイヤーに確実に伝えるためには、写真や図を用いた視覚的な資料や、英語で記載した情報を準備することが重要だ。さらに、通訳者にも専門性の高い説明を正しく理解し、的確に訳してもらえるよう、前述の資料・情報を事前に共有しておく。視察や商談に際しては、専門用語の多用を避け、できるだけ平易な言葉で説明するといった工夫も欠かせない。

ジェトロでは、海外バイヤーとの輸出商談に初めて臨む方や、これまでの商談に課題を感じている方を対象に、中小企業海外ビジネス人材育成塾や商談スキルアップセミナー(2025年10月30日記事参照)を実施している。これらのプログラムに参加することで、海外事業計画の策定や商談用資料の作成など商談前準備から、実際の商談の進め方に至るまで、実践的な学びを事前に得ることができる。

写真 商談会の様子(ジェトロ撮影)

商談会の様子(ジェトロ撮影)

今回の商談会の開催にあたり、ジェトロは独自のオンラインカタログサイト「Japan Street」(注)を活用してマッチングを実施した。バイヤーはJapan Street上の日本側参加企業の商品ページをあらかじめ閲覧し、商談の要否を判断した。実際に、5社のバイヤー全てから商談希望を受け、5件の商談を行った事業者からは、「Japan Streetへの商品登録数を増やすことに加え、商品説明や写真の内容を充実させることで、バイヤーの関心を引き付けることができた」との声があった。Japan Streetへの登録商品数の拡充や魅力的な商品説明・画像登録などが、バイヤーの興味を喚起し商談を成立させるポイントとなるようだ。

(注)Japan Streetは、ジェトロが招待した海外バイヤーのみが閲覧可能なオンラインカタログサイト。日本企業はサプライヤーとして企業情報や商品説明、商品画像を登録することで、世界中のバイヤーに自社商品を紹介できる。登録は無料、専用サイト参照。

(栢沼泰佑)

(日本、米国、カナダ、ハンガリー、カンボジア、ラオス)

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