東京でパラグアイセミナーが開催、コスト競争力や南米の玄関口としての利点をアピール

(パラグアイ、日本)

調査部米州課

2026年05月28日

ジェトロは5月27日、在日パラグアイ大使館との共催でパラグアイ・ビジネスセミナーを東京都内で開催した。在日パラグアイ大使館のマリオ・マサユキ・トヨトシ大使が登壇した。また、パラグアイにワイヤーハーネスの製造拠点を持つ矢崎ブラジルで生産管理部兼社長室部長を務める黒﨑デニス幸雄氏と、パラグアイでコンクリート補強繊維バルチップを生産する萩原工業の取締役執行役員の萩原佳明氏が講演した。セミナーには、企業関係者など60人以上が参加した。

トヨトシ大使は、2025年5月に日本との関係が「戦略的パートナーシップ」に格上げされたこと、また、同年12月に日・パラグアイ投資協定が署名されたことに触れ、今後も両国関係を強化したいと述べた。またパラグアイは、ブラジル、アルゼンチン、ボリビアと国境を接する南米大陸の中心部に位置していることから、南米、とりわけメルコスールの玄関口である旨を強調した。トヨトシ大使は、パラグアイに投資するメリットの1つとして、シンプルで分かり易い税制を挙げた(注1)。また、世界第2位の発電能力を持つイタイプダムによって再エネ由来の電力を供給できる強みもあり、EUメルコスール自由貿易協定(FTA)によりEU向け輸出でも恩恵を享受できると紹介した(注2)。最後に、パラグアイでは大統領を始め、閣僚全員が企業のパラグアイビジネスをサポートする体制である、と強調し、是非大使館に連絡してほしい、と述べて講演を締めくくった。

写真 講演を行うトヨトシ大使(ジェトロ撮影)

講演を行うトヨトシ大使(ジェトロ撮影)

2013年にパラグアイに製造拠点を設立し、同拠点に1,900人の従業員を抱える矢崎総業は、アルゼンチンおよびブラジル向け輸出拠点としてのパラグアイの重要性、生産性の高いパラグアイでの製造について紹介した。同社は、地域別連結売上比率で、北・中・南米が最も高い(約34%)。パラグアイでの生産は、従業員の離職率の低さや出勤率の高さといった良好で安価な労働力に加えて、マキラ制度などの優遇措置も含めコスト競争力があると言う(注3)。グローバル拠点の中でも、重要な生産拠点の1つになっていると紹介した。同社は、パラグアイ政府から「マキラ輸出最⼤企業」として表彰され、「国内有数の雇用創出企業30社」にも選定されている。

写真 講演を行う黒﨑生産管理部兼社長室部長(ジェトロ撮影)

講演を行う黒﨑生産管理部兼社長室部長(ジェトロ撮影)

世界88カ国にバルチップを供給する萩原工業は、2022年にパラグアイでバルチップの生産拠点を設立した(注4)。萩原氏は、パラグアイに投資した背景として、良好な治安、日本語能力の高い日系人の存在、豊富な再エネ、中央政府との距離の近さなどを挙げた。バルチップは、コンクリートに混ぜることでコンクリートに粘り強さを与え補強する役割がある。銅鉱山も多くインフラ需要が高い中南米諸国でのビジネスは大きく、パラグアイで生産開始したことが、ビジネスの拡大にも繋がったと紹介した。萩原氏はまた、同社のビジネスを支える重要なポイントとしての日系人の存在も強調した。日本語能力が高く日本の商習慣にも対応可能な在パラグアイの日系人を雇用できることが、ビジネスを円滑に進められる要因の1つでもある、と紹介した。

写真 講演を行う萩原取締役執行役員(ジェトロ撮影)

講演を行う萩原取締役執行役員(ジェトロ撮影)

(注1)法人所得税10%、個人所得税10%、付加価値税10%。ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイと比較して税率も低い。詳細は、在パラグアイ日本商工会議所「投資ガイドブックパラグアイ2025」参照PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。パラグアイにおける主要な産業については、「パラグアイの主要産業(2026年3月)」PDFファイル(2.3MB)参照。パラグアイの情報については、国・地域別情報「パラグアイ」参照。

(注2)5月1日、EUメルコスールFTAの暫定貿易協定(iTA)の適用が開始した。詳細は、2026年5月12日記事参照

(注3)マキラ制度は、外国から原材料や機械を無関税で一時輸入し、自国で加工・組み立てて再輸出することを条件に、税制上の優遇措置を受けられる保税加工制度。詳細は、在パラグアイ日本商工会議所「投資ガイドブックパラグアイ2025」参照PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)

(注4)2026年3月9日付地域・分析レポート「パラグアイをハブにコンクリート補強繊維の南米展開強化(萩原工業)」参照。

(辻本希世)

(パラグアイ、日本)

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