シンガポール政府とビジネス界、米国301条調査に反論

(シンガポール、米国)

シンガポール発

2026年04月20日

米国通商代表部(USTR)が3月に発表したシンガポールなど16カ国・地域を対象にした過剰生産能力(2026年3月12日記事参照)と60カ国・地域を対象とした強制労働産品の輸入禁止措置(2026年3月13日記事参照)に関する1974年通商法301条に基づく調査について、シンガポール貿易産業省(MTI)が4月15日、さらにはシンガポール最大の経済団体であるシンガポールビジネス連盟(SBF)が4月16日、それぞれUSTRに反論の意見書を提出したと明らかにした〔MTIプレスリリース(過剰生産能力外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます強制労働外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、SBFプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕。

USTRが調査の開始と同時に公表した官報案では、シンガポールの過剰生産能力および生産の証拠として、大規模かつ持続的な貿易黒字や工業用不動産稼働率の低下の中での製造能力の拡大を指摘していた。これに対しMTIは、米国は20年以上にわたり、シンガポールとの間で一貫して貿易黒字を維持していることや工業用不動産稼働率は一貫して高い水準を維持しているなどとして反論。また、SBFは、シンガポールの財貿易の相当部分は、国内の過剰生産ではなく、シンガポールの中継貿易機能を通じた再輸出を反映したもので、シンガポールの主要製造業のいずれにおいても、過剰生産能力や過剰生産は見られないとした。SBFはさらに、シンガポールに対する301条に基づく輸入制限が、再輸出や統合されたサプライチェーンのコストを増大させるほか、確立された調達ネットワークを混乱させ、(米国政府が)保護しようとしている米国の商業的利益を損なうことになり、米国企業の競争力を直接的に損なうことになると指摘した。

強制労働産品の輸入禁止措置に関しては、シンガポール全国使用者連盟(SNEF)も意見書を提出した。MTI、SBF、SNEFそれぞれが、シンガポールには強制労働を根絶するための法が存在することなどを指摘。一方、強制労働によって製造された可能性のある財の輸入(サプライチェーンにおける強制労働)への対応については国際協力の必要性を訴えた。

なお、SBFの意見書は、シンガポール日本商工会議所などシンガポールに拠点を置く10の業界団体・商工会議所と協議した上で作成された。

(朝倉啓介)

(シンガポール、米国)

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