中東情勢長期化の場合、2026年のアフリカ成長率は0.2ポイント低下の恐れ
(アフリカ、ナイジェリア、モザンビーク、南アフリカ共和国、ナミビア、モーリシャス、ケニア、エチオピア、中東)
調査部中東アフリカ課
2026年04月09日
アフリカ開発銀行(AfDB)、アフリカ連合(AU)、国連開発計画(UNDP)、国連アフリカ経済委員会(UNECA)は4月2日、政策に関する報告書「中東の軍事衝突がアフリカに及ぼす影響
」を共同で公表した。4機関は、中東の軍事衝突が6カ月を超えて継続した場合、2026年のアフリカのGDP成長率は0.2ポイント低下する恐れがあると試算した。
背景には、アフリカと中東の経済的な結びつきの強さがある。4機関によると、中東はアフリカの輸入の15.8%、輸出の10.9%を占める。ホルムズ海峡の混乱は、燃料・食料価格や海上輸送費・保険料の上昇、為替圧力、財政悪化などを通じて、アフリカ各国で家計を強く圧迫する可能性があるとしている。
肥料への影響も懸念される。湾岸諸国からの液化天然ガス(LNG)供給が混乱すれば、尿素やアンモニアの生産に影響し、3~5月の作付け期の肥料コスト上昇や供給制約を通じて、食料価格の上昇につながるという。国連食糧農業機関(FAO)によると、中東諸国は世界の尿素輸出量の約30~35%、アンモニア輸出量の約20~30%を占める(2026年3月25日記事参照)。
一方で、4機関によると、一部の国では短期的な恩恵もあり得る。紅海ルートを回避し、喜望峰回りへの航路変更が続く中(2026年3月13日記事参照)、南アフリカ共和国、ナミビア、モーリシャスでは港湾・海事サービス需要の増加が見込まれるという。ナイジェリアでは原油価格の高騰や石油製品輸出の拡大、モザンビークではLNG関連事業、ケニアでは港湾を通じた物流拠点化、エチオピアでは航空物流の役割強化によって、それぞれ恩恵が見込まれるとしている。ただし、こうしたプラス効果は限定的で、大陸全体への悪影響を相殺するものではないと指摘する。
中東情勢の影響は、貿易見通しにも表れている。国連貿易開発会議(UNCTAD)が4月7日に公表した四半期報告書
(Global Trade Update)では、2025年の世界貿易額は前年比約7.5%増の約35兆ドルに達し、アフリカなど開発途上国の伸びが相対的に強かった。2026年第1四半期も堅調だったが、その後は中東情勢に伴う貿易コストの上昇で、伸びの鈍化が見込まれている。
(天神和泉)
(アフリカ、ナイジェリア、モザンビーク、南アフリカ共和国、ナミビア、モーリシャス、ケニア、エチオピア、中東)
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