米商務省、AI輸出プログラムの支援対象とする案件の募集を開始

(米国)

ニューヨーク発

2026年04月03日

米国商務省国際貿易局(ITA)は4月1日、「米国人工知能(AI)輸出プログラム」の支援対象となる案件の募集を開始したと発表した。同プログラムを通じて、米国の技術を中心としたAIの国際的なエコシステム創出を目指す。

ドナルド・トランプ大統領は就任直後の2025年1月にAIなどの規制緩和に関する大統領令を発表した。これを受け同年7月に、AI行動計画と米国製AI技術の輸出を促進するための大統領令を発表した。その後10月に入り、ITAが、米国AI輸出プログラムの開始を発表した(2025年10月23日記事参照)。今回の案件募集は、この一連の流れに続くもの。ITAは米国AI輸出プログラムについて、計算インフラからアプリケーションに至るまで、バリューチェーン全体に米国の技術を活用した輸出可能なエンドツーエンドのAIシステム(注1)を構築・促進するという大統領の指示を実行すると同時に、米国の国家安全保障および外交政策の目標との整合性を確保するもの、と述べている。

申請にあたっては、次のAIスタック(注2)を含む、海外市場向けの製品またはサービスを提供する統合型ソリューションとする必要がある。

  • AI最適化ハードウエア
  • データパイプラインおよびラベリングシステム
  • AIモデルおよびシステム
  • AIモデルおよびシステム向けのセキュリティーおよびサイバーセキュリティー対策
  • 特定セクターまたは機能的なユースケース向けのAIアプリケーション

また申請書には、コンソーシアムの概要、提案パッケージの説明、対象市場、事業および運営モデル、連邦政府に要請する支援内容、米国の国益との合致も含める必要がある。申請は米国AI輸出プログラムの提出ポータル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを通じて電子的に行う。米国東部時間6月30日午後5時まで受け付け、ITAは受領後14営業日以内に提案書に不備がないかを確認する。不備がないと確認されれば、その後60日以内に、支援の対象とするかを決定する。米国政府により優先的な輸出案件として認められれば、次のような支援を受けられる。

  • 米国政府による優先的な提言および関与
  • 米国政府の公式活動やイベントを通じたプロモーション
  • 輸出管理対応における優先的な検討
  • 連邦政府の資金調達手段への円滑なアクセスおよび省庁間調整

ITAの声明でハワード・ラトニック商務長官は「フルスタックの米国製ソリューションを推進することで、われわれは経済・国家安全保障を強化し、同盟国やパートナーとの絆を深め、AIの未来が米国によって主導されることを確実にする」と述べた。米国は経済安全保障の観点から、AIなど重要産業について、米国内での補助金を活用した育成と、米国主導の国際的なエコシステムの創出に取り組んでいる(2026年2月6日付地域・分析レポート参照)。

(注1)データの取得から、学習、モデルの構築、統合、実行までを一気通貫で設計・運用するもの。

(注2)AIシステムの開発や管理を支えるインフラ。

(赤平大寿)

(米国)

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