英国政府、緊急支援策でバイオエタノール工場を一時再稼働へ

(英国、中東)

ロンドン発

2026年04月03日

英国政府は3月26日、イングランド北東部・ティーズサイドに立地するエンサス(Ensus)のバイオエタノール工場を3カ月間、一時的に再稼働させることで、英国内の二酸化炭素(CO2)供給のレジリエンス〔強靭(きょうじん)性〕を確保すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同社は燃料用エタノールのほか、食品・飲料、医療、原子力などの冷却・加工に用いられるCO2も供給している。

2025年5月に合意された米英の関税協定(2025年5月9日記事参照)により、英国は従来19%の関税を課していた米国産エタノールに対し、14億リットルまで無税とする関税割当制度(TRQ)を導入した(2025年8月20日記事参照)。米国産エタノールの優勢により業界内の事業環境の悪化が進み、同業大手のビバーゴ(Vivergo)は工場を閉鎖。エンサスも経営難から2025年9月以降、生産を停止し、一時は閉鎖予定とされた。しかしその後、重要分野への供給を確保する必要性から、英国政府と同社は、工場を「スタンバイ(待機)状態」として維持することで合意していた。

ピーター・カイル・ビジネス・通商相は、今回の再稼働について、「サプライチェーンのレジリエンスを強化する」とともに、「重要産業や、それらが支える雇用や地域社会を守る」と述べた。これまで工場をスタンバイ状態で維持してきたのは、現在のイラン情勢のような世界的な供給ショックが発生した場合でも、英国が重要な産業用原材料へアクセスを確保するための措置だったと説明した。

エンサスの親会社であるドイツのクロップ・エナジーズは3月26日、英国政府から約1億ポンド(約211億円、1ポンド=約211円)相当分の資金援助を受け、エンサスの産業用バイオエタノール工場再開に向けた政府の支援を歓迎するとともに、可能な限りフル稼働での操業を目指すと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。さらに、今回の財政支援を受け、英国燃料市場での再生可能エタノールの需要が拡大した場合でも、TRQに基づき無税となる関税割当量を超える需要について、国内生産によって対応できるとの見解を示した。

(森詩織)

(英国、中東)

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