トランプ米政権、EUと重要鉱物に関するパートナーシップを締結、複数国・地域間イニシアチブ形成へ

(米国、EU)

ニューヨーク発

2026年04月30日

米国務省は4月24日、EUと「重要鉱物に関する米EU戦略的パートナーシップ」に関する覚書(注1)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを締結した。また、米国通商代表部(USTR)は、「重要鉱物サプライチェーンの強靭(きょうじん)化に関する米国・EU行動計画」を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

米国は2026年2月に発表した、EUと日本との共同声明で、重要鉱物サプライチェーンの強靭化を目的にEUと覚書を締結する方針を示していた(2026年2月5日記事参照)。今回締結した覚書では、供給元の多様化のため、米国とEU双方の関心が高い重要鉱物プロジェクトを特定し共同で開発することや、非市場的な政策や不公正な貿易慣行に対処することが示された。このほか、重要鉱物に対する第三国の輸出規制に関する情報共有や備蓄を含む供給途絶防止のための措置などについても協力する。マルコ・ルビオ国務長官は、米EUの重要鉱物サプライチェーンが少数の地域に過剰に集中し、支配されている現状は容認できないリスクであると指摘した。その上で、各国・地域が利用可能な手頃な価格で調達できる供給源を確保する必要があると強調した。

行動計画PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は、非市場的な政策や不公正な貿易慣行に対処する複数国・地域間の貿易イニシアチブ形成に向けた指針として位置付けられている。行動計画では、米国およびEUは双方が関心のある特定の重要鉱物およびそのサプライチェーンを取り上げた上で、最低国境調整価格の設定や基準に基づく市場および貿易措置(注2)といった、米EU間での調整が必要な貿易政策およびメカニズムの実現に向け協議すると明記された。さらに、これらの措置を重要鉱物の貿易に関する複数国・地域間協定に盛り込む方法や、サプライチェーンの強靭化に向けた投資促進や投資審査、研究開発、備蓄での協力などの必要性についても検討する。

USTRのジェミソン・グリア代表は、米国とEUは、重要鉱物サプライチェーンをゆがめてきた非市場的な政策や慣行に対処する決意を共有しているとし、貿易措置を通じた国内重要鉱物産業の強化に向け、EUと連携する姿勢を強調した。

米国は、同盟・パートナー国との重要鉱物サプライチェーンの構築に向けて積極的に取り組んでいる。今回発表した行動計画は、2025年10月に日本と締結した重要鉱物供給確保の枠組み(2025年10月29日記事参照)、ならびに2026年2月にメキシコと締結した重要鉱物に関する行動計画(2026年2月5日記事参照)に続くものと位置付けられる。米国、EU、そして日本は今後、重要鉱物貿易に関する行動計画についても策定する予定であり、重要鉱物サプライチェーンをどのような方法で構築するか、そしてこの動きが他国・地域にどこまで波及するかが焦点となる。

(注1)覚書本文は、国務省のHPには掲載されていないものの、EU側の発表ページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます下部の「Memorandum of Understanding」にひもづけられたリンクよりダウンロードすることが可能。

(注2)国際的な労働および人権基準、法の支配、贈収賄や腐敗防止、環境保護といった基準を満たす市場。2025年10月に開催されたG7エネルギー・環境大臣会合では「重要鉱物の基準に基づく市場促進のためのロードマップ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が取りまとめられている。

(滝本慎一郎)

(米国、EU)

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