EU、関税制度改革法案で合意、単一窓口で通関簡素化へ、11月からは取扱手数料も導入
(EU)
ブリュッセル発
2026年04月01日
EU理事会(閣僚理事会)は3月26日、EU関税制度を抜本的に見直す改革法案(2023年5月18日記事参照)について欧州議会と政治合意に達したと発表した(プレスリリース
)。法案は、通関手続きのデジタル化と簡素化を通じ、通関検査に要する費用や時間を削減するとともに、EU域内に輸入される製品がEU規制に適合しているかを管理する体制を強化することを目的としている。
法案の中核となるのが、フランス・リールに新設されるEU関税庁だ。EU関税庁は、EU共通のデータベースであり、輸入事業者が通関に必要なデータを提出するEUの単一窓口として機能する「EU関税データ・ハブ」を管理する。また、このデータを活用し、通関検査を引き続き実施する加盟国の関税当局と情報を共有しながら、EU規制に違反する危険な製品や麻薬の密輸などに関するリスク管理を包括的に実施する。
事業者は、EU関税データ・ハブを利用することで、複数の加盟国に輸入する場合や複数回にわたって輸入する場合も、データの提出は一度で済むようになり、手続きが簡素化される。また、自社サプライチェーンの高度な透明性確保など厳格な要件を満たす事業者は、「信頼・検査貿易事業者」として認定され、貨物の入域地に関係なく、拠点を置く加盟国の税関当局と一元的に通関手続きを行うことが可能となる。一定条件下では、税関当局による積極的な介入を伴わない輸入も認められる。
このほか、電子商取引(EC)プラットフォーム対策も導入される。これは、中国からの輸入が急増している少額小包に対処するための措置だ。改正後は、一般消費者がECプラットフォームで商品を購入した場合、購入者本人ではなくECプラットフォームが輸入事業者として扱われ、関税や付加価値税(VAT)の納付義務に加え、商品のEU規制への適合性を確認する責任を負うことになる。
なお、150ユーロ未満の小包に認められている関税免除を廃止し、2026年7月1日から暫定的に3ユーロの関税を課すことは既に決まっている(2025年12月17日記事参照)。加えて、法案では遅くとも2026年11月1日までに輸入品に対し税関当局の取扱手数料を導入することも合意された。手数料の具体的な金額については、今後、委任規則によって定められる。
法案は、両機関による正式な承認の後に施行される。EU関税データ・ハブは、2028年7月1日からECプラットフォームを対象に運用が開始され、2031年からその他の輸入事業者も利用可能となり、2034年からはすべての輸入事業者に対し利用が義務化される予定だ。
(吉沼啓介)
(EU)
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