ベトナム最大のギソン製油所が5月末までの操業に必要な原油を確保と発表、政府も対策進める
(ベトナム、中東)
ハノイ発
2026年04月02日
ベトナムのギソン製油所・石油化学(NSRP)は3月25日、5月末まで稼働を継続するため、必要な原油量を確保したと発表した。ギソン製油所は、中部タインホア省に位置する国内最大の製油所で、国内の石油需要の約35~40%の供給を担う。原油処理能力は、1日当たり20万バレル。出光興産、三井化学、国営のペトロベトナム(ベトナム石油ガスグループ)、クウェート石油が合弁で運営する。
NSRPの発表によると、3月中旬に主な輸入先だったクウェートからの原油を受領後、中東情勢の悪化を受け、調達が不透明化していたが、今般、代替調達先の手配に成功したという。具体的な調達先は発表されていない。
また、NSRPはプレスリリースにおいて、追加の原油・原料調達も引き続き検討を進め、操業の安全性・信頼性・継続性を最優先として対応していると表明した。
ベトナムの燃料供給は、ギソン製油所とズンクアット製油所(中部クアンガイ省)の2大製油所で国内の石油需要の約7割を担う。このうち、ズンクアット製油所は原油の65~70%を国内調達しており、3月24日時点では、4月末から5月初旬まで生産可能な原材料を確保、と報道されている(「カフェF」3月25日)。
ベトナムの石油備蓄は、企業の義務備蓄などを合わせると30日分程度とされるが、国家の戦略備蓄は7日分にとどまり、有事への脆弱(ぜいじゃく)性が懸念される。中東情勢の悪化を受け、政府は国内燃料価格の急騰と供給途絶リスクの回避を優先しながら、エネルギー安全保障政策の推進に努める。
政府は、石油価格安定基金や石油製品の時限的なゼロ税率の導入などによる燃料価格の引き下げを図るとともに、バイオガソリン(E10)の全国販売について、当初予定の6月1日から4月に前倒しするなどの方針を発表し、価格高騰に伴う混乱を抑制した。インフラ・エネルギー業界には、エネルギー供給の安定や運用の最適化などを要請した。また、エネルギー転換の推進、電動交通の発展などの中期的な方向性も示した。
3月29日には、ファム・ミン・チン首相がギソン製油所を訪問し、今後の石油製品の運用や供給について関係者と協議するとともに、ギソン経済区内の戦略的石油備蓄基地の建設予定地の視察をした(ベトナム政府公式サイト3月29日)。
さらに、ベトナム政府は日本や韓国、ロシアなど各国に協力を要請し、足元の原料・燃油確保と中期的なエネルギー開発やエネルギー輸入構造の転換を模索している(注)。
なお、国内製油所の操業継続には一定のめどがついている一方、液化石油ガス(LPG)や航空燃料などの石油製品は調達困難な状況が続いているため(2026年3月16日記事、2026年3月26日記事参照)、使用する原材料や熱源によって、今後の企業の操業への影響が懸念される。
(注)チン首相は3月22~25日にロシアを公式訪問し、ウラジーミル・プーチン大統領らと会談した。
(萩原遼太朗)
(ベトナム、中東)
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