欧州テクノロジー業界、生産回復で前向き予測も、エネルギー危機の影響を警戒

(EU、中東)

ブリュッセル発

2026年04月27日

欧州機械・電気・電子・金属加工産業連盟(ORGALIM)は4月16日、2026年春季経済・統計報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。2026年の同産業の総売上高は前年比1.8%増と予測したほか、設備投資は0.7%増、雇用は0.4%減との予測を示した。しかし、中東情勢が長期化し重要エネルギーインフラの破壊が続くと、世界的なエネルギー危機のリスクがより高まると指摘。広範な産業分野で景気低迷や急速なインフレを引き起こし、同産業などテクノロジー業界にも深刻な影響を与えかねないと警戒感を示した。

同産業は2025年末から2026年初頭にかけ、受注の増加、安定的な投資や生産拡大の見通しがみられ、緩やかに生産が回復していた。特に、電化関連バリューチェーン、データセンターや多様なデジタル技術を含む人工知能(AI)や防衛関連分野が好調だ。

電気・電子および情報通信技術(ICT)部門は、急速なAIの進歩や幅広い分野での電化への移行が起爆剤となり、2026年の総売上高は前年比2.2%増と、前年の1.1%増を上回ると予測した。金属技術部門は、2025年の1.0%減から好転し、2026年は0.7%増と予測される。同部門にとって最も重要な自動車産業の低迷が続く一方、各国の防衛費増額や安全保障強化を背景に、防衛産業からの受注の伸びが推測される。また、機械エンジニアリング・機械部門も、2025年の0.4%減から、2026年は2.0%増と回復軌道に乗ると予測。特に先進製造技術分野での力強い回復がみられ、欧州委員会が3月に発表した産業加速法案(IAA、2026年3月13日記事参照)において同技術を重視するなど、政策面での支援が受けやすくなる可能性を指摘した。

通商分野では、米国の関税措置の影響を受け、2025年は同国向けの輸出が大きく減少し、ユーロ圏内での取引が過半を超えた。ポーランド、スイスやトルコ向けの輸出も拡大した。また、雇用関連では、賃金は2026年初頭の段階では大きく上昇しないとみられていたが、世界的なエネルギー危機の規模や期間、またインフレ率によっては、労務コストが急速に上昇する可能性もあると指摘した。

また、EUへの要請として、輸出機会の拡大や貿易・供給網の多角化に資する自由貿易協定(FTA)締結の推進に加え、「エネルギー価格は依然として重大な懸念事項」とし、価格引き下げに向けた取り組みを挙げた。EUおよび加盟国による電力価格に係る減税と電力市場改革法(2023年12月18日記事参照)の改正は、構造的な変化をもたらす支援策であると同時に、原油およびガス価格が電力価格とインフレに与える影響を抑制するとして、期待を示した。また、加盟国に対しては、EU域内市場に悪影響を与えないように、エネルギー価格の変動緩和策について連携するよう要請した。

(滝澤祥子)

(EU、中東)

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