2月の米個人消費支出、根強いインフレなどが消費を抑制
(米国)
ニューヨーク発
2026年04月10日
米国商務省は4月9日、2026年2月の個人消費支出(PCE)
を公表した。米国・イスラエルとイランの衝突による影響が表れる前の段階から、根強いインフレ圧力や労働需要の弱さなどを背景に、消費が抑制されていたことが明らかとなった。
所得関連では、個人所得が名目ベースで前月比0.1%減(前月0.4%増)となった(添付資料表1参照)。主な押し下げ要因となった利息・配当(寄与度マイナス0.13ポイント)や所得移転(寄与度マイナス0.08ポイント)の減少は、主に前月の特殊要因の反動(注1)による一時的なものである可能性が高い。一方、雇用者報酬は前月比0.2%増(寄与度0.12ポイント)と前月(0.5%増、寄与度0.31ポイント)から伸びが低下した。
労働市場は、やや振れはみられるものの、依然として縮小均衡状態が続き、これに伴って賃金の伸び悩みが見られる(2026年4月7日記事参照)。労働需要の低迷が続けば、この傾向は長期化する恐れもある。所得の伸びの鈍化を反映し、名目可処分所得は前月比0.1%減となり、貯蓄率も4%に低下した。
所得の伸び悩みに加え、2月はインフレの影響も目立つ。物価全体の動きを示すPCEデフレーターと、より変動が少なく物価動向を把握できるコア指数ともに、前月比でみると0.4%上昇と高めの伸びを示している(添付資料表2参照)。中でも、コンピュータや衣類をはじめ、財(食品・エネルギー除く)の価格(注2)は前月比1.1%上昇(前月0.4%上昇)した。なお、PCEデフレーターを前年同月比でみると2.8%上昇(前月2.8%上昇)、3カ月前比(年率)でみると4.1%上昇(前月3.5%上昇)、6カ月前比(年率)でみると3.4%上昇(前月3.2%上昇)と、依然として物価上昇圧力は続いていることがわかる。3月以降は中東情勢に伴いガソリンや輸送サービスなどの価格上昇が予想されており、今後の動向には警戒が必要だ。
インフレの影響を受け、名目消費(前月比0.5%増)は比較的高めの伸びを示したにもかかわらず、実質消費(前月比0.1%増)はほとんど伸びていない(添付資料表3参照)。実質消費の内訳では、自動車(前月比4.3%増、寄与度0.15ポイント)は大雪の影響の反動や個人向け減税に伴う税還付の増加の影響(注3)もあり伸びているが、そのほかの財の伸びは弱く、財全体では前月比0.2%増(寄与度0.1ポイント)にとどまった。財の実質消費が2025年12月および2026年1月と2カ月連続でマイナスとなり、2月も弱い伸びにとどまっていることは、財への支出割合が高い中・低所得者層の家計へのストレスを反映している可能性が高い。また、2月はサービスの実質消費も0.1%増(寄与度0.1ポイント)と低調だった。
(注1)1月は、社会保障給付のインフレ調整に伴い所得移転が増加していた(2026年3月17日記事参照)。
(注2)公式統計を基にジェトロが計算。
(注3)2026年はトランプ政権下で成立した「大きく美しい1つの法案法(OBBBA)」の影響で税還付額が例年より高くなると予想されていた。
(加藤翔一)
(米国)
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