1月の米個人消費支出、インフレ圧力はなお根強い、消費者の姿勢は防衛的

(米国)

ニューヨーク発

2026年03月17日

米国商務省は3月13日、1月の個人消費支出(PCE)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表した。根強いインフレ圧力と消費者のディフェンシブ(防衛的)な姿勢が示唆されるものとなっている。

所得関連では、個人所得が名目ベースで前月比0.4%増(前月0.3%増)となった。内訳では、雇用者報酬は前月比0.5%増(寄与度0.31ポイント)となった。1月の雇用統計(2026年2月12日記事参照)でも情報業などを中心に平均賃金の伸びが報告されており、こうした方向性とおおむね合致するかたちとなっている。また、今月は配当の増加により利息・配当も前月比1.2%増(寄与度0.18ポイント)、社会保障給付のインフレ調整に伴い所得移転も前月比0.4%増(寄与度0.07ポイント)といずれも所得の増加に寄与した。上記を受け、名目可処分所得(前月比0.9%増)も大きく改善した(添付資料表1参照)。

しかし、こうした良好なフロー環境にもかかわらず、消費者の姿勢はディフェンシブなものとなっている。名目個人消費は前月比0.4%増となったが、これは、財が0.1%減となったのをサービスが0.5%増と支えたかたちだ(添付資料表2参照)。実質消費の伸びは0.1%増にとどまり、中でも財消費は0.4%減(寄与度マイナス0.14ポイント)と2カ月連続の減となった。一部に大雪の影響も含まれると考えられるものの、総じて財消費への依存度が高い中・低所得者層の消費の弱含みが感じられる内容だ。これに対してサービス消費は0.3%増(寄与度0.22ポイント)と引き続き堅調だが、内訳ではヘルスケアや金融・保険サービスなど高所得者層消費に関連が深い項目に集中している。名目可処分所得の内訳をみると、名目消費の伸び(前月比0.4%増、寄与度0.35ポイント)よりも貯蓄の伸び(前月比14.6%増、寄与度0.58ポイント)に大半が費やされている。

物価関連では、PCEデフレーターはガソリン価格の低下によって押し下げられ、前年同月比2.8%増(前月2.9%増)、前月比では0.3%増(前月0.4%増)となったが、変動が大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は前年同月比3.1%増(前月3.0%増)、前月比は0.4%増(前月0.4%増)といずれも前月からやや加速し、インフレ上昇圧力は依然として強いことが示唆された(添付資料表3参照)。3月以降は地政学的要因に伴うガソリン価格などの上昇により、数カ月間、上昇圧力がさらに増す可能性が高い。こうした動きが続けば、トランプ政権の目玉政策である個人向け減税の効果が大きく損なわれる可能性を指摘する声もある(ブルームバーグ3月13日)。

(加藤翔一)

(米国)

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