3月の米雇用統計、ポジティブな数字が並ぶも、内容は縮小均衡の継続を示唆

(米国)

ニューヨーク発

2026年04月07日

米国労働省は4月3日、3月の雇用統計を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。表面上はポジティブな数字が多いが、内容を精査すると数字ほど改善している訳ではなく、依然として労働市場の縮小均衡状態の継続を示唆する内容が多い。

就業者数(前月比6万4,000人減)、失業者数(同33万2,000人減)、労働参加率(61.9%、前月から0.17ポイント低下)(注1)を踏まえた失業率は4.3%(注2)と、前月(4.4%)から低下した(添付資料表1、図1参照)。失業率は表面上低下したが、その主因は労働参加率の低下にあり、労働市場の改善を意味するものではないことに注意が必要だ。広義の失業率(注3)は8.0%(前月7.9%)と直近3カ月ほとんど変化しておらず、平均失業期間も25.3週(前月25.7週)と引き続き高止まりしていることもこうした見方を裏付けるものとなっている。

事業所調査(注4)の結果はまちまちだ。非農業部門の新規雇用者数については、17万8,000人増と市場予想(6万5,000人増)を大きく上回る結果となっている。また、3カ月移動平均でみても、今月は約6万8,000人増とダラス連銀が試算する外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますブレーク・イーブン(注5)である約3万人を十分に上回る水準となっている。

内訳では、政府部門が8,000人減、民間部門が18万6,000人増だった。業種別では、教育・医療(9万人増)、娯楽・接客業(4万4,000人増)、建設業(2万6,000人増)、運輸・倉庫業(2万1,000人増)などでの増加が主たる要因(添付資料表2、図2参照)。いずれも、2月の医療従事者によるストライキ、天候要因による押し下げからの反動増の側面が含まれることには留意が必要だが、それでも3月は比較的幅広い業種で増加が確認されたことはポジティブな要素だろう。

他方、賃金に関しては、雇用者数ほどのポジティブさはみられない。平均時給は37.4ドル(前月37.3ドル)、前月比0.2%増(前月0.4%増)、前年同月比3.5%増(前月3.8%増)と伸びは鈍化し、市場予想(前月比0.3%増、前年同月比3.7%増)を下回る結果となった。労働省や民間機関が発表している求人に関する統計では、労働需要は引き続き低調にとどまっていることが示唆されており、こうした労働需要の弱さが賃金の伸びに影響しているものとみられる。

3月の結果は、表面上はポジティブな数値が多くみられるものの、内容を精査すると額面ほど強いものではないことがわかる。労働の需要と供給のいずれも弱い水準で均衡が保たれている状況に大きな変化はなく、引き続き労働市場の動向には留意が必要だ。それでも、今回の結果は、次回以降の連邦公開市場委員会(FOMC)において、連邦準備制度理事会(FRB)が労働市場の動向よりもインフレリスクにより重きを置く根拠を提供するものとなるだろう。

(注1)公式統計を基にジェトロが計算。小数点第2位までの数値で比較すると3月は61.88%と前月(62.05%)から0.17ポイント低下。

(注2)公式統計を基にジェトロが計算。小数点第2位までの数値で比較すると、3月は4.26%と前月(4.44%)から0.18ポイント低下。

(注3)失業者に加え、「現在は仕事を探していないが、過去12カ月の間に求職活動を行った者」と「フルタイムを希望しているものの、非自発的にパートタイムを選択している者」を合わせて算定した数値。

(注4)雇用統計は失業率などを含む家計調査と、非農業部門新規雇用者数や平均賃金などを含む事業所調査の2種類の統計から成り立っている。

(注5)失業率が上昇しないために必要と考えられる新規雇用者数を指す。バイデン前政権下の緩和的な移民政策のもとで外国人労働力が大きく増加した2023年のブレーク・イーブン雇用者数は約16万人だったが、第2次トランプ政権下では外国人労働力を中心に労働供給が大幅に減少した結果、数値は大きく低下している。

(加藤翔一)

(米国)

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