米国最大のデータセンターハブ、バージニア州セミナーを東京で開催

(米国、日本)

調査部米州課

2026年04月15日

米国バージニア(VA)州日本事務所はジェトロと共催で4月9日、都内で「米国におけるデータセンター、エネルギーおよび周辺関連産業の最新動向セミナー」を開催外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、100人以上が参加した。セミナー冒頭で2026年1月に就任したアビゲイル・スパンバーガー同州知事(民主党)のビデオメッセージが披露され、続いてVA州経済開発機構(VEDP)のジェイソン・エル・コウビ局長とアンティエ・アブショフ副局長から同州の産業基盤が紹介された。

同州北部は首都ワシントンの経済圏(添付資料図1参照)であり、充実したインフラと米国東海岸経済圏へのアクセスの良さ、高度な人材の集積などを理由に日本企業を含む多くの外国企業の投資先となってきた。特に近年は、光ファイバーケーブル網などデジタル基盤の集積や州の税制優遇措置(注1)などを背景に全米最大、世界有数のデータセンター(DC)ハブとなっており、DC向け機材やサービスなどの周辺業種企業の進出も増えている。近年はDC需要の拡大を受け、州南部でも大型DCの開発が始まっている。さらに州南東部のチェサピーク湾と大西洋に面した一帯の港湾圏には、軍需・造船・修理・航空宇宙関連産業の集積があり、人工知能(AI)ユーザーが多く存在する。

一方で、急速なDCの集積、DC自体の大型化により電力需要急増という課題も浮上している。VA州の電力消費量におけるDCの比率は2023年には約26%だったが、2030年には29~46%に増加するという予測もある。同州は、原子力(注2)、天然ガス、再生可能エネルギーの組み合わせで対応していく計画だ(添付資料図2参照)。またDC向け電力供給の安定化のために州内の大手電力会社に蓄電設備の設置を義務付ける法案HB895/SB448が4月13日、知事の承認を得て成立している。

セミナーでは、進出済みの日本企業2社の事例も紹介された。日立製作所は、米国33州で事業を展開、VA州には5都市に9拠点を持ち1,100人を雇用している。政府向けのデジタルサービスに加え、州南部サウスボストンで米国内電力網や産業施設向けの小・中型の変圧器やその関連品を生産している。同社ワシントンコーポレート事務所の嶋田恵一事務所長によれば、電力需要の急拡大で変圧器の生産は受注に追いつかないほどであり、これまで米国外から輸入していた大型電力用変圧器を米国内で生産するため2025年9月に同工場に10億ドル規模の投資を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。この投資は米国の電力グリッドの安定性や強靭(きょうじん)性向上に貢献し、825人以上の新規雇用を創出する。

NTTグローバルデータセンターは、州北部ラウドン郡アッシュバーン周辺のDC集積地域(注3)に大型キャンパスを開設、そのうち6棟が稼働中で〔現時点で166メガワット(MW)以上を提供(予定含む)、完成すれば合計224MW以上の規模〕、他に3棟の拡張を計画している。また、同じ州北部プリンス・ウィリアム郡ゲインズビルにはさらに規模の大きいキャンパスを建設中で、最初の棟が2027年に完成予定だ。同社の原孝司戦略投資部長は、州北部へのDC集積の理由として、もともとデジタル基盤があったところに上述のプラス要因が加わるが、特に意義が大きいのは優秀な人材の確保しやすさだと述べた。また、両社とも投資にあたってのVEDPによる多様な支援が大きな助けになったと語った。

写真 アビゲイル・スパンバーガー州知事(ビデオメッセージ)とジェイソン・エル・コウビ局長(ジェトロ撮影)

アビゲイル・スパンバーガー州知事(ビデオメッセージ)とジェイソン・エル・コウビ局長(ジェトロ撮影)

(注1)一定の条件を満たしたDCを対象に、「DC運営に直接使われる設備・ソフト」の購入に対し、販売・使用税(Sales & Use Tax)を減免する。

(注2)コモンウェルス・フュージョン・システムズ(CFS)による米国初の商業用核融合発電所建設計画(2024年12月23日記事参照)やアマゾンによる同州ドミニオン・エナジーおよび、Xエナジーと小型モジュール原子炉(SMR)プロジェクトの推進契約(2024年10月17日記事参照)などが発表されている。

(注3)「データセンターアレイ(横丁)」と呼ばれる。

(岩井晴美)

(米国、日本)

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