EU理事会、対ロシア制裁第20弾を採択、エネルギー・金融分野の制裁や回避防止を強化
(EU、ロシア)
ブリュッセル発
2026年04月30日
EU理事会は4月23日、第20弾となる対ロシア制裁パッケージを採択した(プレスリリース
)。今回の制裁は、エネルギーや金融分野を中心に、制裁措置と制裁迂回防止対策を一段と強化する内容になっている。
エネルギー分野では、ロシア産石油の探鉱、採掘、精製、輸送に関与する上流・下流部門の36企業を新たに制裁対象に追加した。また、原油価格上限規制(2025年7月22日記事参照)の回避に関与しているとされる「影の船団」(2024年12月18日記事参照)への対応を強化し、船舶46隻を新たに指定した。これにより、制裁対象となる船舶は累計632隻となった。さらに、EU域内から第三国へのタンカー売却について、ロシアでの使用や影の船団への転用を防止するため、売却企業に対し厳格なデューディリジェンスを義務付けるとともに、ロシア向けの使用・転用を制限する契約条項を売買契約に盛り込むことを求めた。
加えて、将来的にロシア産原油および石油製品に関する海上輸送サービスを禁止するための法的枠組みも整備した。これは、第三国旗を掲げる船舶を運航する場合も含め、EU域内の事業者および船舶所有者に適用されるもので、禁止の施行時期については、EU理事会が今後決定する。
金融分野では、ロシアの銀行20行およびキルギス、ラオス、アゼルバイジャンの金融機関4行との取引を禁止した。クリプト(暗号資産)については、第19弾制裁での取引禁止措置(2025年10月29日記事参照)を強化すべく、ロシアの暗号資産サービス提供者とのあらゆる取引を禁止する包括的な分野別禁止措置を新たに導入した。また、ロシア・ルーブルと価値を連動させたステーブルコインの「RUBx」やロシア中央銀行が開発を進めるデジタル通貨「デジタル・ルーブル」についても禁止対象とした。
このほか、制裁迂回防止措置として、第11弾制裁パッケージで導入された域外国への輸出制限措置(2023年6月28日記事参照)を初めて発動することを決定し、キルギス向けの数値制御工作機械および無線機器の輸出を禁止した。また、二重用途物品の輸出規制の対象に、ロシアの32企業のほか、中国、トルコなど域外国の28企業を追加した。貿易分野では、既存の輸出入規制を拡大し、化学品や鉄鋼製品の一部なども新たに対象に追加した。
(吉沼啓介)
(EU、ロシア)
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