イタリア政府とシンガポールのシリコン・ボックスが開発協定締結、欧州初の生産拠点建設へ

(イタリア、シンガポール)

ミラノ発

2026年04月16日

イタリアの企業・メードインイタリー省と投資誘致・事業開発公社(Invitalia)は3月31日、シンガポールの半導体ユニコーン企業(注1)であるシリコン・ボックスと、同社がピエモンテ州北東部のノバーラ市に建設予定の半導体生産拠点について「開発協定(Accordo di Sviluppo)」を締結した(企業・メードインイタリー省の3月31日付プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

開発協定とは、イタリア政府の大型投資プロジェクト向けの国内外の企業に対する支援制度「開発契約(注2)」のうち、特に戦略的に重要なプロジェクトのために設けられた優遇措置。2024年12月に、欧州委員会が同プロジェクトに対しイタリア政府による13億ユーロの支援を承認していたが、1年以上を経て具体的な進展があった。シリコン・ボックスにとって初の欧州生産拠点で、投資総額は32億ユーロに上る。2028年の量産開始を目標とし、フル稼働時には約1,600人の新規直接雇用を創出する見込みだ(2025年8月26日付地域・分析レポート参照)。

同社は、チップレット技術(注3)を中核とする先端半導体のパッケージング・製造やテスト技術を強みとしている。本投資プロジェクトは、EUが2030年までに半導体の世界市場シェアを10%から少なくとも20%に倍増させることを目指す「欧州半導体法」戦略(2023年8月2日記事参照)や、イタリア政府が40億ユーロを投じて推進するマイクロエレクトロニクス分野の投資誘致政策と合致している。

アドルフォ・ウルソ企業・メードインイタリー相は、「この協定は、イタリアの技術主権と産業主権を強化するための戦略的な一歩であり、欧州の半導体サプライチェーンをより強固で回復力のあるものにする」と強調した。その上で、「今日、イタリアは信頼性が高く魅力的な国と評価され、世界の主要なテクノロジー企業からも強い関心を集めている」と自信をみせた。

シリコン・ボックスの共同創業者兼最高経営責任者(CEO)であるブンジュン・ハン博士は、「イタリアへの投資は、同国における半導体生産の産業復興という新たな時代の幕開けとなるだろう」と期待を表明した。

ピエモンテ州のアルベルト・チリオ知事も同日に声明を発表し、専門性の高い雇用の創出やイノベーション、そして関連する中小企業の成長という点で、大きな波及効果が見込まれることを強調した。また、今後の進め方についてノバーラ市長と電話会談を行ったことや、数カ月以内の工事着工に向けて、関連企業を支援する協議会や設計者との協議も進行中であることを明らかにした。

(注1)ユニコーン企業とは、企業評価額が10億ドル以上、かつ設立10年以内の未上場企業を指す。

(注2)開発契約(Contratto di sviluppo)の最低投資額は原則2,000万ユーロだが、開発協定(Accordo di sviluppo)では5,000万ユーロ。評価期間を短縮し、行政手続きも簡素化される。

(注3)従来においては大きな半導体チップに集積していた機能を、小さな複数のチップに分割した上で、それらをパッケージ内で接続して1つのシステムとして動作させる技術のこと。

(平川容子)

(イタリア、シンガポール)

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