欧州産業界、バイオメタンの活用推進策をEUに提言

(EU)

ブリュッセル発

2026年04月02日

欧州バイオガス協会(EBA)は3月24日、エネルギー集約型産業や農業関連10団体と共同声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表し、EUにバイオメタンの活用推進策を提言した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

欧州委員会は、クリーンエネルギーへの移行に向け、バイオメタンの生産・利用拡大を目指し、ロシア産エネルギーからの依存脱却に向けた「リパワーEU」(2025年5月9日記事参照)では、2030年までに年間生産目標を350億立方メートルと設定した。

11団体は、化学、パルプ・製紙、海運、肥料部門などでは今後もエネルギーおよび原料としてガス状分子が必要であり、バイオメタンはEU域内で生産可能で、コスト効率が高く、生産規模が拡大可能な上、産業用途での迅速な展開が望めると強調した。

署名団体のうち、欧州化学工業連盟(Cefic)は同日付の声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、バイオメタンは化合物の合成に役立つだけでなく、輸入天然ガスへの依存低減、消化液(注)など副産物の活用を通じた循環性の向上に加え、域内生産の維持やイノベーションの創出、企業の投資継続に資すると、活用拡大のメリットを挙げた。EBAによると、EUのバイオガス生産・精製部門は年間約2,500万トンの消化液を生産している一方で、化学肥料の輸入量は2024年に2,420万トンに達している。また、中東情勢の悪化に伴い、商業用二酸化炭素(CO2)の主要供給源であるアンモニア生産への影響が想定される中、業務用の液化炭酸ガスとドライアイス需要の14%に相当する約117万トンの生物由来のCO2を同部門が回収している点は重要と指摘した。

声明では、バイオメタンの利用拡大に向けた枠組みが徐々に形成されつつあるが、さらなる市場の早期成長に向け、次を含む10項目の提言を行った。

  • バイオメタンがEUの気候およびエネルギー目標の達成に貢献することを、産業加速法案(IAA、2026年3月13日記事参照)など今後制定される規制枠組みにおいて明示。
  • バイオメタンの認証、域内外取引、長期購入契約に係る障壁の撤廃。
  • バイオメタンを用いて、または原料として製造される低炭素で循環型の製品へのインセンティブや、長期購入契約の確保、エネルギー集約型産業向けの支援策。
  • 越境事業の推進に向け、加盟国独自の助成枠組みを可能な限りEUレベルで調和。
  • 総合的な計画立案や許認可の迅速化を通じた供給インフラの整備推進。

11団体はバイオメタンの潜在的な可能性が大きいとして、バリューチェーンへの投資意欲を示し、大規模なバイオメタンの活用は、政策立案者や産業界など関係者共有の責任でありチャンスと訴えた。

(注)メタン発酵によって、バイオガスを取り出した後に残る副産物で、栄養素が豊富で肥料として活用できる。

(滝澤祥子)

(EU)

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