フランス、ヒートポンプとEVの普及を含む電化促進計画を発表
(フランス、中東)
パリ発
2026年04月20日
フランスのセバスチャン・ルコルニュ首相は4月10日、電化促進計画を発表
(フランス語)した。(1)エネルギー自立の強化、(2)家庭・企業・公共サービスにおける長期的なエネルギーの節減、(3)フランスの再工業化の3つを目標に掲げ、2030年までに電化支援額を現行の年間55億ユーロから100億ユーロに倍増する。石油やガスから「国内で生産される電力」へのエネルギー消費の転換を目指す。
具体的には、住宅および運輸関連の施策を発表した。住宅については、2026年末から新築の住宅へのガスボイラーの設置を禁止する。2030年までに国産のヒートポンプの年間設置台数を100万台とすることで、ガス輸入の20%に相当する85テラワット時(TWh)を電力に転換する。
運輸関連では、電気自動車(EV)の普及を促し2030年までに新車販売台数の3分の2をEVにする目標を設定した。国産EVの生産台数を2027年に40万台、2030年には100万台に引き上げる。また、低所得世帯向けに6月から5万台分のEVのリース支援(2025年10月2日記事参照、注)を再開するほか、2026年からはホームヘルパーや訪問看護師、職人のような自営業者など、職業上の理由から走行距離が長い中間所得者向けに追加で5万台分を支援する。中小企業による電動の商用車とトラックの購入には、初めて1台当たり最大10万ユーロの援助を発表した。
エコロジー移行・生物多様性・気候および自然に関する国際交渉省データ・統計調査局(SDES)によると、2024年の国内の電力生産量は548TWh、最終エネルギー消費量は410TWhだった。また同年のフランスの余剰電力量は90TWhで、前年のほぼ2倍となった。一方、フランスの送電系統管理会社RTEによると、最終エネルギー消費量のうち電力が占める割合は約27%。約60%を占める化石燃料は輸入に依存しており、年間の輸入額は毎年400億~600億ユーロに達する。
中東情勢の緊張による燃料価格高騰を受け、政府は4月3日、運輸・農業・漁業関連の中小・零細企業向けに「フラッシュ燃料融資」を創設し、最大で5万ユーロを融資することを発表した。低所得者世帯向けの光熱費補助「エネルギー小切手」は、対象を70万世帯拡大し、450万世帯に配布する。ルコルニュ首相は「石油やガスを輸入することは、同時に他国の危機を輸入することでもある」と述べ、エネルギー自立の必要性を強調した。
政府は2月13日に発表した第3次エネルギー長期計画(PPE3)で、産業、建築物、モビリティー、デジタル分野を中心に電化を促進し、電力需要は2035年に618TWhに達すると見込んでいる(2026年2月17日記事参照)。
(注)同制度は財源不足のため、いったん停止していた。
(クロティルド・クニッグスドーファー、奥山直子)
(フランス、中東)
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