フランス政府、2035年までの第3次エネルギー長期計画を発表
(フランス、EU)
パリ発
2026年02月17日
フランス政府は2月13日、2026~2035年を対象とする第3次エネルギー長期計画(PPE3)を制定する政令
(フランス語)を発表した。同計画は、エネルギーの安定供給と主権の確保、2050年カーボンニュートラルの実現、エネルギー価格安定の3つを基本方針とし、政府が12月に発表した国家低炭素戦略の改正案(2025年12月18日記事参照)やEUの気候目標、パリ協定と整合する今後10年間の政策枠組みとなる。
政府は2035年の最終エネルギー消費量を1,100テラワット時(TWh)とし、2023年比で約3割削減する方針を示した。特に化石燃料は900TWhから約330TWhへと大幅に削減し、最終エネルギー消費に占める化石燃料の比率を60%から、2030年に40%、2035年に30%へ引き下げる。
2026年2月から全国電化計画を開始し、産業、建築物、モビリティー、デジタル分野を中心に電化を促進する。電力需要は2035年に618TWhに達すると見込む。
エネルギー生産では、脱炭素電力の生産量を2023年の458TWhから2030年に585TWh、2035年に650~693TWhへ増やす方針だ。電源構成は原子力発電の再興を柱としながら、再生可能エネルギー(再エネ)の導入を進めていく。原子力では次世代原子炉EPR2(改良型欧州加圧水型炉)を6基建設し2038年以降に順次運転を開始する計画で、追加8基の建設も検討する。既存57基の運転延長も進め、2030~2035年に原子力発電量380~420TWhを目指す(2025年12月24日記事参照)。
再エネでは、水力発電の設備容量を2035年までに28.7ギガワット(GW)に拡大し、洋上風力は大型プロジェクト入札を通じて15GWの導入を予定する。
太陽光は2030年に48GW、2035年に55~80GW、陸上風力は2030年に31GW、2035年に35~40GWを見込む。太陽光は2028年まで年間2.9GWを上限に、入札や固定価格買い取り制度の導入を進める。陸上風力は景観負荷の低減と出力増加の両立に向けて既存施設の改修を優先しつつ、800メガワット(MW)規模の入札を年2回実施する。
このほか、再エネ熱、バイオメタン、バイオ燃料、水素など非電気系の低炭素エネルギーも拡大する。水素では2030年に4.5GW、2035年に最大8GWの電解設備の導入目標を設定し、産業向け生産設備への投資支援を強化する。EU規則「ReFuel EU Aviation」や「FuelEU Maritime」に基づき、航空・海運での水素利用を後押しする。
一方、フランスの気候NGO「レゾー・アクション・クリマ(Réseau Action Climat)」は、PPE3はエネルギー消費削減の具体策が不十分で、再エネの導入ペース鈍化などの現行の流れを変えない限り目標達成は困難だと批判している。
(山崎あき)
(フランス、EU)
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