米上院、競争促進による医薬品価格低減策の検討で公聴会

(米国)

ニューヨーク発

2026年04月22日

米国連邦議会上院の保健教育労働年金委員会は4月16日、医薬品価格の低減策を検討するため、「競争促進が医薬品価格の引き下げにどう寄与するか」に焦点を当てた公聴会を開催した。

公聴会では、米国食品医薬品局(FDA)の元審査官のブライアン・ミラー氏が、バイオシミラー(バイオ後続品、注1)の承認について「351(k)ルート(注2)の承認要件を合理化し、最終的にジェネリック医薬品の簡易新薬申請(ANDA)(注3)と同様にすべきだ。これにより、ハッチ・ワックスマン法(注4)が生物製剤市場にも適用される」と述べた。さらに、薬剤師との相談を必要としつつ、処方箋なしで処方薬を購入可能な「カウンター販売(BTC)」の創設を提案した。

スーザン・コリンズ上院議員(共和党、メーン州)は、FDAにおけるバイオシミラーの審査プロセスの迅速化の必要性を強調するとともに、競争を阻害する目的でFDAの市民請願(注5)手続きが悪用されている問題にも言及した。同議員は2025年10月、悪意ある市民請願による承認遅延を防ぐための「ジェネリック医薬品への適時アクセス確保法案」を共同提出している。

ジョン・ヒッケンルーパー上院議員(民主党、コロラド州)は、特許医薬品の製造企業がジェネリック医薬品の製造企業に対して行う過度な訴訟の影響について論じた。同議員は2024年12月に、スキニーラベル(注6)を取得したジェネリック医薬品メーカーを、特許侵害訴訟における責任から保護する「スキニーラベル・ビッグセービング法案」を発表した。この法案が成立すれば、ジェネリック医薬品メーカーが度重なる訴訟から保護され、薬価の引き下げが図られるとしている。

ジム・バンクス上院議員(共和党、インディアナ州)は、中国では安価かつ迅速に臨床試験が実施可能なため、米国の製薬企業が中国での臨床試験への依存度を高めている点を問題視した(2026年3月26日記事参照)。ミラー氏は、FDAが中国と競争しサプライチェーンの安全性を確立するためには、初期段階の審査で人工知能(AI)を活用し自動化を図ることで、官僚的な手続きを排除する必要があると述べた。

2026年11月に行われる中間選挙では、アフォーダビリティー(手頃な価格)が有権者の主要な関心事となっており、医薬品の価格については、トランプ政権も重視している(2025年12月23日記事参照)。保健政策の調査などを行う非営利組織(NPO)であるKFFの2026年1月の世論調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによれば、米国成人の66%が、自分や家族の医療費を賄えるかどうか不安を感じていると回答しており、医療費は生活費の中で大きな懸念事項になっている。

(注1)先行バイオ医薬品と高い類似性を持つことが確認されたバイオ医薬品。

(注2)既存の臨床データを活用してバイオシミラーの承認を得るための、FDAの簡略化された承認プロセス。

(注3)ジェネリック医薬品の承認を得るためにFDAに提出する申請。臨床試験データを必要とせず、特許医薬品との生物学的同等性および製造の詳細に基づいて審査される。

(注4)「1984年薬価競争および特許期間回復法」の通称。この法律により、ジェネリック医薬品のANDA制度が導入された。

(注5)利害関係者がFDAに対し安全対策などの措置を要請できる手続き。請願の多くは、医薬品や医療機器の製造業者が他の製造業者の製品に対して提出しているとされる。

(注6)ジェネリック医薬品メーカーが、特許医薬品の全ての適応症ではなく、特許切れとなった一部の適応症についてのみ限定的に販売承認を取得することを指す。

(大垣ジャスミン)

(米国)

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