ラオス国会、「ラオス・ベトナム鉄道」を原則承認
(ラオス、ベトナム)
ビエンチャン発
2026年04月06日
ラオスの首都ビエンチャンで3月23~27日、第10期国民議会(国会)第1回会合が開催された。国会では、新国家指導部の選出(2026年3月24日記事参照)に加え、「ラオス・ベトナム鉄道」プロジェクト(注1、添付資料図参照)の推進が主要議題となった。
サルムサイ・コンマシット常任副首相は、同鉄道プロジェクトの第1A区間に関する計画を国会に提出した。第1A区間は、ラオスのカムアン県ターケークからラオス・ベトナム国境のムーザー峠までの147キロを結ぶもので、BOT(建設・運営・譲渡)方式により民間企業が建設・運営を行い、その後、政府へと譲渡する計画である。事業主体は、ラオスの石油・物流大手ペトロリアム・トレーディング・ラオ(PTL)で、総投資額は約13億3,900万ドルと見積もられている。
この鉄道は、将来的にビエンチャンからベトナムの深海港であるブンアン港まで約562キロを結ぶ計画の一部をなす。貨物取扱量は、開通目標である2030年には1日当たり約5,100トン、2050年には4万7,000トンまで拡大する見込みだ。本プロジェクトは、PTLが関与するベトナム・ブンアン港、ビエンチャンのタナレーン・ドライポート、カムアン県の石炭火力発電所などを有機的に接続することを目的とした「ラオス・ロジスティクス・リンク構想」の中核事業だ。
国会は本プロジェクトを原則承認した一方、国益保護の観点から厳格な提言・留意点を示した。具体的には、投資回収期間が14年と見込まれる中で、50年間のコンセッション期間は長すぎるとし、期間設定の再検討を求めた。また、収益は現地通貨キープ建てで回収する一方、支払いがドル建てで発生するため、通貨リスク管理が課題であると指摘した。さらに、国会は住民補償も重要な論点となるとして、鉄道ルートの用地補償にとどまらず、工事の影響が及ぶ沿線外の土地や農作物も対象とした包括的な調査の実施、着工前の補償金支払いの完了、市場価格に基づく合理的な補償単価の設定を強く求めた。
さらに、国会は政府に対し、コンセッション契約(注2)の条項を厳格に精査するとともに、付属文書29件を6カ月以内に整備するように指示した。あわせて、本プロジェクトを国家会計検査・国家監査機関のモニタリング対象に指定し、初期段階からの監督を通じて、債務リスクや不正の発生を未然に防ぐ体制の構築を求めた。
(注1)ラオス・ベトナム鉄道は、中国ラオス鉄道(2025年11月18日付地域・分析レポート参照)と同じ1,435ミリメートルの標準軌を採用し、旅客列車は最高時速150キロ、貨物列車は時速80キロでの運行が想定される。次の3区間で構成される。
- 第1A区間:ラオスのカムアン県ターケーク市〜ムーザー峠(ラオス・ベトナム国境)の147キロ。2019年10月にPTLは政府との覚書(MOU)を締結し、現在までに可能性調査および予備的基本設計(Pre-FEED)が承認されている。
- 第1B区間:ムーザー峠(ベトナム・クアンチ省)〜ベトナムのブンアン港(ハティン省)の103キロ。2022年10月に、PTLとベトナムのインフラ開発大手デオカ・グループとMOUを締結した。現在はベトナム側の法律に基づき、承認手続きが進行中。
- 第2区間:ビエンチャン〜ターケーク市の312.8キロ。2022年6月にPTLは政府とのMOUを締結した。現在、包括的な可能性調査を行うためのMOUの延長が原則合意。
(注2)第1A区間のコンセッション契約は2026年3月31日、ラオス・ベトナム鉄道社(LVRC)とラオス投資奨励管理委員会との間で締結された。ラオス政府は60%の出資比率と発表された。
(山田健一郎)
(ラオス、ベトナム)
ビジネス短信 126c986744cc03e7





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