2025年のFDI純流入額は約78億ドル、過去5年で最低水準

(フィリピン)

マニラ発

2026年03月24日

フィリピン中央銀行(BSP)は3月10日、2025年の外国直接投資(FDI)純流入額が77億9,100万ドル(前年比17.1%減)と発表し、過去5年間(2021~2025年)で最低水準となった。なお、BSPの年初の予想値の70億ドルには達した。

内訳は、株式資本投資13億2,400万ドル(前年比31.4%増)、利益再投資11億9,800万ドル(2.5%増)、企業間債務投資(社内貸借)52億6,900億ドル(27.0%減)となっている。通年の内訳をみると、主に製造業、卸売・小売業、金融・保険の産業分野に向けられ、株式資本の主な投資元は日本、米国、シンガポール、韓国の順で、日本が最大となっている。

過去5年間で最低水準となった背景としては、世界的な金融引き締め(高金利)、地政学的リスク、国内景気の減速(2026年3月2日記事参照)、インフラ整備の遅れなどが指摘されている。最低水準の主要因である企業間債務は大幅な減少となっており、外資企業の現地法人に対する慎重な融資姿勢を示している。一方で、株式資本投資は大幅に増加しており、長期的な視点での新規あるいは追加の事業拡張が実行されている。外国企業は足元の慎重姿勢を強めつつも、国家の長期成長ポテンシャルへの期待はある程度維持されている底堅い構図といえるだろう。

また、2025年のFDI認可額について、投資促進機関の1つであるフィリピン経済特区庁(PEZA)の認可額は2,608億9,000万ペソ(約6,783億1,400万円、1ペソ=約2.6円)だった。前年比21.9%の大幅増となり、将来のFDI純流入の増加が予想され、将来の投資先としての期待の高さが反映されている(2026年1月19日記事参照)。

2026年のFDI純流入額の予想は75億ドルだ(2025年12月発表)。フィリピン国内では、マランパヤ東の新規ガス田の発見によるエネルギー供給の改善・安定化、官民連携(PPP)の制度整備、ソブリン格付けの安定といった構造的な追い風が存在する。一方、国外では現下の中東情勢および世界的なエネルギー安全保障問題を原因とするエネルギー価格上昇に伴うインフレ進行、金融緩和の遅れ、現地通貨ペソ安、物流遅延の発生が下振れなどの主要なリスクとなる可能性があると、米国のビジネス専門メディアCNBCなどが指摘している。

(葛原伯史)

(フィリピン)

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