欧州会計監査院、重要原材料(CRM)の安定供給に向けた強化を提言

(EU)

ブリュッセル発

2026年03月02日

欧州会計監査院(ECA)は2月3日、重要原材料(CRM)の安定供給に対するEUの取り組み状況を評価する報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

EUは、CRMの輸入先の多角化や域内生産の拡大、資源の持続可能な管理を目指しているが課題は多い。まず、CRM法(2023年12月15日付地域・分析レポート参照)で指定する「重要原材料」と「戦略的原材料(SRM)(注)」のリストは、根拠となるデータ、予測、測定手法などが不十分と指摘した。特にオーストラリア、米国、インド、日本、英国と比較した場合、エネルギー転換で重要とされるインジウムとテルルが掲載されていない(添付資料表1参照)。また、SRMの2030年目標は、現状を踏まえておらず(添付資料表2参照)、拘束力のないベンチマーク(努力目標)のみで、SRM以外のCRMに目標が設定されていない。このため、欧州委員会に対し、貿易データや需要予測の精度向上、目標設定の根拠、評価手法、EU資金の追跡の整備を提言した。

輸入先の多角化に向けた取り組みに関しては、EUの貿易協定がEUへのCRM供給の安全性向上につながるか分析するよう促した。また、域内生産(探査、採掘、加工)の進展の妨げとなっている資金調達環境を改善する措置を検討すべきとした。域内のリサイクルは、高い加工費用や限られた原材料、技術的課題などの市場障壁が競争力を阻害し、リサイクルの実行可能性を制限していると分析。ネットゼロ産業法(2024年2月14日記事参照)の見直しに際し、CRMの代替材料を使った製品の設計技術を対象に含める検討や、技術的に可能な場合は、各CRMに拘束力のあるリサイクル目標の導入やCRMを含む廃棄物に対する現実的な回収目標の導入を検討することを提言した。

域内生産支援を目的とする戦略的事業(2025年3月27日記事参照)の多くは2030年までに供給を確保することは困難な状況にあり、戦略的事業の対象を現行のSRMのみから全てのCRMを対象とすることを検討すべきとした。

(注)戦略的原材料は、CRMのうち特に戦略的重要性が高く、供給不足の恐れがあり、生産の拡大が比較的難しいもの。

(大中登紀子)

(EU)

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