欧州委、重要原材料法に基づき戦略的事業を初認定
(EU)
ブリュッセル発
2025年03月27日
欧州委員会は3月26日、重要原材料法(2023年12月15日付地域・分析レポート参照)に基づき認定した戦略的事業の一覧を発表した(プレスリリース)。EUでは、ネットゼロ技術やデジタル化の実現などに必要不可欠な重要原材料の供給の多くを域外に依存していることから、その安定供給が課題となっている。
重要原材料法は、重要原材料を主に域内で採掘、加工、リサイクルする事業を支援する戦略的事業制度を導入するものだ。認定を受けた戦略的事業は、許認可手続きの簡略化や迅速化のほか、財政支援へのアクセスにおいて優遇を受けることができる。今回発表された一覧は、2024年5月の重要原材料法の施行以来初の認定で、2025年夏には次回の認定に向けた事業募集を予定している。
今回認定されたのは、13の加盟国(注)に位置し、総設備投資額225億ユーロを見込む47事業。事業内容の内訳(複数の事業内容を有する事業を含む)は、採掘が25事業、加工が24事業、リサイクルが10事業、代替原材料関連が2事業となっている。
事業が対象とする重要原材料は、重要原材料法が規定する17の戦略的原材料(重要原材料のうち特に経済的重要性が高く、供給不足の恐れがあり、生産の拡大が比較的難しい原材料)のうち、ビスマス、金属シリコン、金属チタンを除く14の戦略的原材料だ。特に域内のバッテリーバリューチェーンの強化につながるリチウム(22事業)、ニッケル(12事業)、コバルト(10事業)、マンガン(7事業)、黒鉛(11事業)などが中心となる。リチウムとコバルトについては、今回認定された戦略的事業が計画どおり稼働すれば、重要原材料法が規定する戦略的原材料に関する2030年目標を達成できるとしている。このほか、域内の防衛産業に資するタングステン(3事業)やマグネシウム(1事業)を対象とする事業も認定された。
認定を受けた戦略的事業の詳細は、欧州委員会のウェブサイトを参照のこと。
(注)ベルギー、フランス、イタリア、ドイツ、スペイン、エストニア、チェコ、ギリシャ、スウェーデン、フィンランド、ポルトガル、ポーランド、ルーマニア。
(吉沼啓介)
(EU)
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