石油市場混乱の影響緩和のため、IEAが石油・ガス使用量削減のための10の措置を提案

(中東、世界)

調査部中東アフリカ課

2026年03月24日

国際エネルギー機関(IEA)は3月20日、中東情勢の悪化による石油市場の混乱が消費者に与える影響を緩和するため、政府や企業、家庭が実施可能な石油・ガス使用量削減のための10の措置を提案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。内容は次のとおり。

  1. 可能な限り在宅勤務を行うこと。
  2. 高速道路の速度制限を少なくとも時速10キロメートル引き下げること。
  3. 公共交通機関の利用を促進すること。
  4. 大都市では、自家用車の道路利用に関してナンバープレートによるローテーション制度を導入すること。
  5. カーシェアリングの拡大と、環境負荷の軽減に配慮した効率的な運転手法を採用すること。
  6. 商用車および貨物輸送における効率的な運転(運転技術の向上、車両のメンテナンス、積載量の最適化など)を採用すること。
  7. LPガスとガソリンを併用する車両では、燃料をガソリンに切り替えLPガスを調理など生活・必須用途向けに優先的に確保し、LPガスの輸送用途からの転換を行うこと。
  8. 代替交通手段がある場合は航空機の利用を避けること。
  9. 可能な限り、調理方法はLPガスを利用するものから、電気調理など近代的なものに切り替えること。
  10. 産業界は石油化学原料の柔軟性を活用し(原材料をLPガスからナフサに切り替えるなどして)、操業改善を通して石油消費量を削減しつつLPガスを必須用途向けに振り向けるため、短期的な業務効率化とメンテナンス対策を実施すること。

イスラエルと米国が2月28日、イランに対する攻撃を開始し、これに対してイランは中東諸国の米軍基地やインフラ施設、民間施設などへ反撃している。また情勢悪化に伴い、エネルギー資源の物流の要衝であるホルムズ海峡の通航が停止状態となっている(2026年3月4日記事参照)ことから、IEAは石油市場安定化のため3月11日、32加盟国が石油備蓄から4億バレルを市場に放出することで合意したと発表した(2026年3月12日記事参照)。

IAEのファティ・ビロル事務局長は今回の発表について、目下の石油危機の影響から消費者を守るため、石油備蓄の放出に加え、政府や企業、家庭で実施できる即時的かつ具体的な措置の選択肢を示すものと述べた(3月20日IEAニュースリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。またIAEはこれらの措置について、航空、調理、産業分野も対象としつつも、世界の石油需要の約45%を占める道路輸送に主眼を置いたものとしている。

中東情勢については、特集「イスラエル・米国とイランの衝突に関する中東情勢、各国の反応」も参照。

(久保田夏帆)

(中東、世界)

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