米自動車業界団体、トランプ政権に対し中国車参入への規制維持を要請
(米国、中国)
ニューヨーク発
2026年03月19日
ゼネラルモーターズ(GM)やトヨタなど主要自動車メーカーをメンバーとする自動車イノベーション協会(Alliance for Automotive Innovation、以下AAI)など業界団体(注1)は3月12日、トランプ米国政権に対し、中国メーカーの米市場参入に関する規制維持を求める書簡を提出した(ロイター3月14日)。
書簡では、「世界の自動車製造を支配し、米国市場への参入を果たそうとする中国の継続的な取り組みに対し、重大な懸念」を表明したとされる。また、「こうした動きは、米国の国際競争力、国家安全保障、そして自動車産業基盤に対する直接的な脅威となる」とも指摘した。特に、車両のコネクテッド機能を通じたデータ収集や遠隔操作のリスクを指摘し、商務省が2025年3月に導入したコネクテッドカー規制(2025年6月11日付地域・分析レポート参照)の維持を要請した。さらに、中国メーカーによる米国内生産についても、輸入と同様のリスクが残るとして警戒を促した。AAIは2025年12月にも米国連邦議会下院中国特別委員会の公聴会に際し、中国政府主導の補助金政策や過剰生産などが米国の競争力と国家安全保障を損なう、と警告する声明を提出している(2025年12月16日記事参照)。
ドナルド・トランプ大統領が2026年1月のミシガン州デトロイトでのスピーチ
で、中国の自動車関連企業による米国進出を歓迎する内容の発言を行ったことなどから、自動車業界では中国製車の米国参入を懸念する声が高まっている。今回の書簡において業界団体は、当初予定されていたトランプ大統領の中国訪問(注2)を前に、通商交渉において本件が論点となる可能性を念頭に置き、あらためて規制の維持を訴えたものとみられる。
2026年3月現在、中国からの輸入車両には、自動車・同部品を対象とする1962年通商拡大法232条および1974年通商法301条に基づき、高関税が課されている。さらに上述のコネクテッドカー規制では、中国・ロシアが関連する特定のソフトウエアやハードウエアを搭載したコネクテッドカーの輸入・販売が一定の条件のもとで禁じられている。こうした措置により、中国車流入には一定の抑止力が期待される一方、関係者の間では、国境を接するカナダからの迂回流入や、一部の州で電気自動車(EV)メーカーの直販(注3)が許可される動きなどを踏まえ、中国車が米国内へ浸透する足掛かりになるのではないか、と懸念する声も上がっている(注4)。
(注1)AAIのほか、全米自動車ディーラー協会(NADA)、オート・ドライブ・アメリカ(ADA)、米国自動車政策評議会(AAPC)、米国自動車部品工業会(MEMA)の計5団体。
(注2)トランプ氏はイラン情勢などを理由に、訪中を5~6週間延期するとしている(NBCニュース3月17日)。
(注3)各州では、自動車メーカーが直接消費者に車を販売(直販)することを制限し、独立したディーラー(販売店)の権利を保護する「フランチャイズ法」が制定されている。EVメーカーの直販に関しては、州によって方針が異なる。
(注4)AAIのジョン・ボゼーラ会長兼最高経営責任者(CEO)の発言、および2026年2月下旬に行った日系企業関係者に対する筆者インタビューなどに基づく。
(大原典子)
(米国、中国)
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