米税関、IEEPA関税還付に向けた進捗状況を報告、国際貿易裁判所は進捗を評価
(米国)
ニューヨーク発
2026年03月16日
米国税関・国境警備局(CBP)は3月12日、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税還付に関する進捗状況について、国際貿易裁判所(CIT)に報告した。CITは報告を受け、手続きが順調に進んでいることを評価した。CBPは、IEEPA関税の還付を行える新たなシステムを4月20日までに導入予定だ。
連邦最高裁判所がIEEPA関税を無効と判断した後、CITはCBPに対して、事実上、IEEPA関税の還付を命じた。この命令に対し、CBPは3月6日に、IEEPA関税を還付するための新たなシステムを電子通関システム(ACE)に導入すると明らかにした(2026年3月9日記事参照)。CITはこれを受け、新システム導入の進捗状況を3月12日までに報告するよう、CBPに命じていた。
今回のCBPの報告によれば、新システムの名称は「統合通関管理・処理システム(CAPE)」で、主に次の4つの機能を有する。
〇請求(CLAIM PORTAL)
運用開始後、ACE内に新たなタブが表示され、そこからIEEPA関税の還付を求める輸入申告書のファイルを提出できる(CAPE申告)。開発の進捗は70%(注1)。
〇一括処理(MASS PROCESSING)
CAPE申告からIEEPA関税に該当する米国関税分類番号(HTSコード)を自動的に削除し、IEEPA関税を申告しなかったものとして、関税額を計算する。この一括処理を問題なく通過すると、CAPE申告は正式に受理される。開発の進捗は40%。
〇審査および清算・再清算(REVIEW AND LIQUIDATION/RELIQUIDATION)
CAPE申告に対して、システム上で清算・再清算し、利子も自動的に計算する。開発の進捗は80%。
〇還付(REFUND)
受理されたCAPE申告に含まれる輸入概要書(entry summary)が予定された清算・再清算日に到達すると、ACEは案件をACE内のCAPE専用還付処理に自動的に回す。CAPE還付処理では、清算/再清算日および輸入申告者(IOR)(またはIORがCBP Form 4811で指定した還付受領者)ごとに還付額をまとめて処理する。処理が完了すると、指定した銀行口座へ電子送金する。開発の進捗は60%。
CBPはまた、IEEPA関税の還付は上述の基本機能から開始し、その後、より複雑な申告を処理できるよう段階的に開発する方針を示した。例えば、現時点ではアンチダンピング関税(AD)や補助金相殺関税(CVD)の対象となっている輸入申告は、CAPEの対象外となっている。
CBPによる報告を受け、CITは、「順調な進展を確認した」と評価した。その上で、あらためてCBPに対して、米国東部時間3月19日午後2時までに進捗状況を報告するよう命じた。
税関手続きに詳しい米国の通商弁護士は、CBPによる新システムを肯定的に評価している。一方で、清算が最終確定した場合の対応など(注2)、依然として不透明な点は残る。こうした状況に対して、前出の通商弁護士は、「これまでの輸入申告を見返し、漏れなく還付を受けられるよう確認しておくこと」「清算済みの場合、少なくとも異議申し立てをしておくこと」「電子的に関税還付を受けられるよう必要な登録手続きを確実に済ませておくこと」(注3)が重要だと指摘する(注4)。
なお、トランプ政権は、CITの還付命令に対して控訴することが可能だ。IEEPA関税の還付を受ける可能性がある企業は、今後も状況を注視していくことが重要だ。
(注1)本記事におけるシステムの進捗状況は全て3月11日時点。
(注2)米国では、輸入者が輸入時に納入する関税は推定関税となっており、CBPはその後、通常314日以内に確定関税を通知する。ここで推定関税と差異があれば、この差額分が徴収もしくは還付される。これを関税清算という。また、輸入者などは関税清算後でも、180日以内であればCBPに対して異議申し立てを行うことができ、これが認められれば、再清算となる。全ての清算が終了することで、最終確定となる。
(注3)2月6日から、関税還付は原則として、電子的に行われる(2026年1月8日記事参照)。だがCBPは、電子での還付に必要な手続きを行っている輸入者は限定的だと明らかにしている。
(注4)ジェトロによるインタビュー(3月12日)。
(赤平大寿)
(米国)
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